何回でも論文添削!技術士(建設部門・総合技術監理部門)受験 2008年06月
CO2の金融化
 自分なりの予想問題に対する論文は作成して,そろそろ暗記を始めている受験者の方も多いと思います.さすがに一字一句まで暗記する時代は終わったと思うけど,だから暗記する必要はない!ってことにはならない.
 ある程度覚えていなきゃ,試験当日,右往左往して何も書けないんじゃないかな?自分だけがしんどいのではなく,みんな苦労して覚えているんだから,心を鬼にして頑張ってください……今やらずにいつやるんだ?
 
 やっぱり日本でも排出権取引(ET)を導入する方向に固まったようですね……あとは産業界の反対を押し切れるかどうかだけど,世界的な潮流から考えると導入するしかないと思う.
 排出権取引は,世界中の取引額の約70%を占めるEU域内排出権取引制度(EU-ETS)がデファクト・スタンダードになっている.EU-ETSがキャップ・アンド・トレード(C&T)方式だから,その仕組みに右へ習えとなる……何ごとも後追いになっちゃう……ニッポン.
 
 ちょっと復習しておくと,政府が温室効果ガスの総排出量(総排出枠)を定めて,それを個々の主体に排出枠(キャップ)として配分し,個々の主体間の排出枠の一部の移転(または獲得)を認める……これがC&T方式です.
 もうひとつの方式がベースライン・アンド・クレジット方式なんだけど,これは日本で採用されないようだから覚える必要はないと思う.日本が目指している排出権取引の方向性,この大枠だけ把握しておけば十分です.

 鴨下一郎環境相は24日、温室効果ガスの排出量取引導入を加速する全国組織「日本カーボンアクション・プラットフォーム」(JCAP)を発足させることを、閣議後会見で明らかにした。欧州連合(EU)などが昨年秋に組織し、排出量取引のルール作りを目指す「国際炭素取引協定」(ICAP)の日本版といえる試み。自治体などに参加を呼びかけ、北海道洞爺湖サミット後の7月半ばに初会合を開く。

 大規模事業者に排出枠を割り当て、過不足分を売買して排出削減を進める「キャップ・アンド・トレード型」の排出量取引の仕組みについて情報交換するほか、自ら削減できない分を自然エネルギー事業などへの資金提供で埋め合わせる「カーボン・オフセット」などを加速する狙い。都道府県や政令市などに参加を呼びかけるほか、企業や民間団体の参加も募る。

 東京都では、国内初のキャップ・アンド・トレード型の排出量取引を導入する環境確保条例の改正案が25日に成立する見通し。
 ICAPは昨年10月、排出量取引の国際ルールづくりを目指してEUやニュージーランド、米国・カナダ諸州の参加で発足。日本政府はオブザーバー参加している。
「毎日jp 2008年6月24日」

 排出権取引で最も問題視されるのは,CO2の金融化なんだけど,いろんなストーリーに沿って,ヘッジファンドが裁定取引で儲ける(場合によっては損する)ことになる. 
 たとえば,地政学的リスクが高まるという「うわさ」が流れる⇒原油価格が上昇するだろう⇒代替燃料(石炭など)の使用率が増えるだろう⇒電力会社はCO2排出量が増加するだろう⇒キャップに収まらない可能性が高くなるぞぉ⇒排出権の価格が上昇するから,今のうちに排出権を買っとけ!……というようなストーリーも考えられる.

 ほかにも,原子力の安全性・信憑性に関する「うわさ」や,水力発電の割合が高い地域での渇水という「うわさ」など,いろんなストーリーが「うわさ」だけで作られるんだろうな.毎度のことながら,マネーゲームの発端となる「うわさ」には閉口してしまうが,排出権取引もバブル化すると思う.
 結局,ガソリンや鋼材,食品にまで波及した物価高のように,金持ちのお遊びのツケを,一般国民が支払うことになるんだよなぁ……そろそろ勘弁してほしいんだけど.

 ちなみに,技術士試験では,C&T方式の排出権取引制度をタラタラと説明する必要はない(そんなことより他に書くことがあるはず).だけど,東京都ではC&T方式の排出権取引を導入する条例が成立,国の方向性も排出権制度の導入がほぼ間違いない状況,これぐらいは頭に記憶させておいたほうがよいと思う.

―今日のことわざ―
風が吹けば桶屋が儲かる


建設一般 | 【2008-06-25(Wed) 20:58:32】
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気候変動への賢い適応
 昨日18日付で,環境省の地球温暖化影響・適応研究委員会が,報告書「気候変動への賢い適応」を発表した.温暖化を前提にした国内対策が,報告書という形で示されたのは初めてらしい.
 建設一般対策に勤しんでいる受験者の皆さんは,目を通しておけばよいと思う.ちょっとページ数が多いので,性根が入るかもしれんが…….
 
 環境省のホームページに書かれていた主要な結論を転載しておくけど,これだけ見て満足するのではなく,報告書の中身を読んだほうがよいと思う.

1.わが国でも、既に気候変動の影響が現れている。特に、今世紀に入って以降、影響は急速に現れつつある。
2.今後 、国民生活に関係する広い分野で一層大きな影響が予想される。
3.わが国の自然や社会が有する脆弱性に気候変動の影響が重なると、社会の安全と安定にとって、厳しい影響が生じ得る。
4.気候変動の悪影響に対して「賢い適応(効果的・効率的な適応)」が必要である。
5.応策を実施できる体制を構築するため、さらに検討を重ねるとともに我が国における適応計画を策定することが必要である。
6.特に脆弱な途上国に対する協力・支援が必要である。
7.最新の科学的知見の整理とともに、さらなる研究・検討が求められている。

 環境省だから肯定派と決め付けるのではなく,広いココロ(客観的な目線)で読んでみることをオススメする.ざっと見た感じ,今後の課題として,温暖化のメカニズムを解明しなきゃいけないって書いてあるから,国土交通白書よりは公平な見方ができるんじゃないかな?

 ここんとこバタバタしていて,細部まで目を通してコメントする余裕がないので,とりあえず紹介だけしておこう.ちなみに,報告書で使われたからといって,建設一般の論文に「賢い」という語句を連呼する必要はない.多くの受験者が使うであろう語句に頼るのではなく,具体策で賢さを示せばよい.

参考ホームページ:地球温暖化影響・適応研究委員会報告書「気候変動への賢い適応」の発表について

―今日のことわざ―
一方聞いて下知をすな


建設一般 | 【2008-06-19(Thu) 13:05:36】
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地球温暖化は人為的起因か?
 最近,受講者さんから地球温暖化に関する質問が相次いであった.SUKIYAKI塾の掲示板でも,懐疑論がどうのこうのと話題になったらしい.

 以前も書いたと思うけど,私は人為的起因を前提とした温暖化論者ではないし,かと言って懐疑論者でもありません.要するに,現時点で結論を出すには材料が乏しいんじゃないの?と考えているわけです.
 これが本音だけど,本音を暴露して国家(技術士)試験を受けるメリットなんてどこにもない.自分が持っている知識を,すべて見せびらかすことが常に正しいわけではない……何事も時と場合による……KYということ.当たり前だが,受験者の皆さんは,人為的起因に肯定的な見方をしておくべきだ.
 
 建設一般論文では,人為的起因を前提とした地球温暖化に対し,社会資本整備(建設分野)では何が課題なのか,その課題をどうやって解決するのか?簡素化して書いたが,こんな感じで受験者(あなた)に問われるわけだ.あくまで試験では,人為的起因の温暖化を前提条件として受け入れ,そっから後の部分で勝負すればよいし,それらが論文におけるあなたの主張になる.

 前提条件が正しいだの正しくないだの,そんな井戸端会議を採点者は望んでいないと思うし,最終的に結論は出ないんだから意味も無い.前提条件を否定した場合,温暖化は太陽と地球の関係が主因だから……なんて論調では収拾がつかないし,社会資本整備(建設分野)に成す術はない.
 結局,井戸端会議をする暇があるのなら,オリジナリティのある課題解決策をひとつでも考えた方が得ということです.
CIMG09506
 余談になるが,過去の観測データを上手く再現できるパラメータを設定(モデル構築)して,それを基に何十年後かを予測するというシミュレーションの手法自体は正しいものだと思う.その一方で,観測データは所詮限定的だし,太陽の放射エネルギーやアルベド,フィードバック効果などのメカニズムも完全に解明(モデルに反映)されていない.
 こんな状況で実施したシミュレート結果から,二酸化炭素が諸悪の根源と判断するのは危険だという懐疑論はもっともらしい.だけど,人為的な起因ではないと言い切れるか?

 もちろん,私は言い切れるだけの力量を持っていないし,言い切れない科学者が大半ではないだろうか.技術士試験の採点者も同様だと思う.専門分野を研究する一人の科学者だけで判断できるほど,地球温暖化は領域の狭い問題ではない.だからIPCCの報告書が神聖化されるとも言えるが…….

 まとまりのない話になったが,地球温暖化は人為的起因かもしれないし,そうではないかもしれない,という域を抜け出していないのではないか.こんな状況にある前提条件を,正しいだの正しくないだの,枚数の限られた原稿用紙にタラタラ書いて点数が伸びるわけがない.

―今日のことわざ―
知恵は小出しにせよ


建設一般 | 【2008-06-12(Thu) 22:17:33】
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平成20年度出題予想(専門)
 今年も主要項目だけを列記してみます.これらはあくまで私の予想なので,最終的な判断は自己責任でお願いします.なお,添削を受講されている方には,すでに想定問題として配布してあるものばかりです.
 
 ―凡例―
★★★・・・本命
★★☆・・・微妙
★☆☆・・・大穴


―必須問題―
 必須問題のひとつは建設一般とかぶってしまいました.建設一般で地球温暖化(低炭素社会)が出題されたら,道路科目の必須では出題されないと思うので,両方を本命として準備すればよいのでは?

1.地球温暖化(低炭素社会)★★★

 多くを語る必要はないでしょう……やはり外せないテーマです.

2.プライオリティ・スピーディー★★★

 アチャラ語ばっかりだが,真に必要な道路(道路の中期計画)とあわせて出題されるかも.

―選択問題―

1.自転車道★★★

 今まで単独で出題されたことは無いと思うが,道交法も改正されたし,要注意かな.

2.有料道路関連★★☆

 いろんな設問が予想できるけど,有効活用と機能強化ぐらいを考えとけばよいのでは?

3.環境負荷を軽減する舗装★★☆

 今年も外せないテーマです.幅広い舗装技術を理解しておいたほうがよいかも.

4.補強土★☆☆

 そろそろ補強土が出てもいいんじゃないかなと……今年度の大穴か?

5.道路橋の維持管理★★★

 今年もこれはゆずれない.もしかしたら建設一般問題になるかも?

―今日のことわざ―
当て事と越中褌は向こうから外れる
(これも例年と同じだが)

出題予想 | 【2008-06-11(Wed) 14:06:33】
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平成20年度出題予想(建設一般)
 毎年恒例になってきた出題予想ですが,設問の文章まで公開するのではなく,キーワード的なものに留めておきます. 最近は多様な書籍が予想問題を掲げているから,キーワード程度の公開なら受講者さんも納得してくれると思う.
 これらは,あくまで私の予想なので,最終的な判断は自己責任でお願いします.

 ―凡例―
★★★・・・本命
★★☆・・・微妙
★☆☆・・・大穴


1.「地球温暖化」★★★
 どうのこうの言っても,今年の「大本命」です.受験者の多くが用意してくるテーマなので,白書で書かれている内容を羅列しただけではA評価はしんどいと思う.くれぐれも単なる説明文にならないように……説明文はあなたの意見ではない.あと,7月7日から開催される洞爺湖サミットの動向にも注意しておきましょう.

2.「防災・減災」★★★
 これも今年の「大本命」です.ミャンマーサイクロン災害や中国四川大地震があったから外せないテーマかなと.過去に出題された直球的な防災というより,気候変動リスク(適応)のほうが可能性は高いかも.

3.「地方再生・都市再生」★★☆
 2年連続して似たような出題されないだろう,と高を括ってはいけない.これは当分続く重要な課題ですから,いつ出題されてもおかしくないテーマです.
 
4.「リニューアル」★☆☆
 無理矢理ひとつだけ大穴を書いた.正直なところ,観光・景観や技術者倫理も捨てがたいのだが…….米ミネソタ州ミネアポリス市の落橋事故は昨年の8月に発生したから,昨年の試験では間に合わず,リニューアル(更新・維持管理)が今年あるかもしれんなぁ?と.
  
 観光・景観は,観光庁が2008年10月1日に設置される予定だから,今年は見送りで来年本命になるのではないか.技術者倫理は,昨年の技術継承という設問傾向から考えると案外ありそうな気がする.ほんと言い出したら切がないなぁ……最終的には自己責任で取捨選択するしかないと思う.

―今日のことわざ―
備えあれば憂いなし
(これも毎年恒例だが……)

出題予想 | 【2008-06-05(Thu) 19:56:19】
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リンク
建設部門 択一問題集  平成29年度版
総監部門 択一問題集  平成29年度版
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