何回でも論文添削!技術士(建設部門・総合技術監理部門)受験 2009年05月
温暖化影響の定量的評価
 あれもこれも危ないというのはわかるんだが,そろそろ本腰を入れた施策を実行しないと,世界から置いてきぼりにされてしまう.
 急激な需要減少に伴う在庫品を国民の税金で値引き販売する「エコ家電・エコカーへの買換え促進策」に精を出すようでは,先が思いやられる.それにしても,電機や電子部品,自動車メーカーが助けてもらう施策には,マスコミの反発が少ないなぁ……この調子で建設業界とも向きあってほしい.

 困ったときの技術頼みというか,いろんな媒体で言われるように,現時点で日本の環境技術は世界一かもしれない.しかし,欧米が一歩先ゆく業界標準を目指さないと,バイオや携帯電話のようにガラパゴス化してしまう.いくら技術が優れていても,デファクトスタンダードにならない限り,その技術は廃れていく運命にある……いつまで世界一と言い張れるのか?

 今回の成果報告の要点
 我が国を主たる対象として、[1]洪水による氾濫面積及び被害コスト、[2]土砂災害による斜面崩壊発生確率及び被害コスト、[3]ブナ林の適域への影響及び被害コスト、[4]マツ枯れ危険域の拡大、[5]コメ収量への影響、[6]砂浜喪失面積の拡大及び被害コスト、[7]高潮浸水面積の拡大、被災人口及び被害コスト、[8]熱ストレス死亡リスク及び被害コスト、の8つの指標について温暖化影響を定量的に評価した。

 参考ホームページ:地球環境研究総合推進費戦略的研究プロジェクト「温暖化影響総合予測プロジェクト」成果発表について?地球温暖化「日本への影響」-長期的な気候安定化レベルと影響リスク評価- ?

 建設部門を受験される方は,リスク評価が専門ではないと思うので,自分の必要な部分だけを拾い読みしてください.「あれもこれも」と情報をかき集めるのではなく,自分の専門分野を再確認して,必要ない箇所はすっ飛ばしましょう.
 いくら専門分野外の知識を集めても,それはゴミになる可能性が高いわけで……そこからお宝が湧き出てくるわけではありません.効率よく情報収集するためには,「読まない」決断を下す必要があります.「必要ないかなぁ?」と感じたところは,多分必要ないでしょう(その割切りが大事).こうした自分なりの決断を下すことによって,はじめて「何を読むか」が見えてくるはず……うーん,自己啓発書っぽくなってしまったなぁ. 

 環境省の資料を読むよりも,新聞の記事がわかりやすいかもしれません(補足的に環境省の資料を読むのが効果的かも).
 YOMIURI ONLINE:世紀末の日本、温暖化放置なら被害年間17兆円の試算

建設一般 | 【2009-05-30(Sat) 13:33:24】
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持家神話
 これだけ社会構造が変わってきているのに,相変わらず国の方向性は「持家」だなぁ?.
 住宅を所有している家庭が「標準的なパターン」,これを前提として社会保障制度を考えているから仕方ないのか…….年金受給年齢になっても,賃貸の家賃や住宅ローン返済を負担しなきゃいけない場合,今の年金給付水準で生活できるわけがない.
 今年の白書でも,【各ライフステージに適した住まいを】と銘打って,「住宅ローン減税制度や優良住宅取得支援制度など,無理のない負担での住宅取得を支援し,個人のライフステージに応じた居住水準を向上させる」と書かれていた.要するに,標準的なパターンの家庭を増やして,社会保障制度を維持しようとしているわけだ.

 また,【居住確保のセーフティネットを構築する】と銘打って,「低所得者や高齢者に対する公的な賃貸住宅の供給」も書かれていた.だけど,厳しい懐事情の地方自治体が,低所得者や高齢者をターゲットにした公営住宅に乗出すとは思えない.言葉は悪いかもしれないが,公営住宅の建設や管理に要する費用に対し,そこに住まう人たちからの税収(便益)は伸びない,という財政運営上のジレンマが存在するから.
 過疎地における若年層の定着を目的にする場合は別だが,そうでなければ公営住宅を増やしていくような時代ではないと思う.

 政府は中古住宅の売買を活発にするため、来年度にも新しい保険制度をつくる検討に入った。保険に加入すると、買ってから5年以内に雨漏りなどの欠陥がみつかれば、かかった補修費用を最高1000万円まで支払う。保険を普及させ、中古住宅の品質への不安を和らげる。良質な中古住宅の流通を促して住宅購入で新築以外の選択肢を広げ、住環境の改善につなげる。

 耐震偽装事件を受け、政府は10月から新築住宅の売り主に保険加入(供託でも可)を義務付ける。新保険は加入が任意な点は異なるが、その中古住宅版といえる。
 「NIKKEI NET 2009年5月26日」

 突然の失業や収入減少など,労働条件が急変する社会構造では,暮らしの条件も刻々と変化していく.いつまでも持家という標準的パターンにしがみつくよりも,いろんな選択肢のある社会を築く必要があるわけだが,そのためには,標準的なパターンから外れても安心して暮らせる制度設計,やはり行きつくところは年金改革か…….
 結局,リタイア後の生活が見通せないと,安心して暮らすことは難しいんだろうなぁ?.

 今年の白書は「私たちの暮らし」が前面に押し出されているので,建設一般論文では,道路や河川など土木一辺倒ではなく,建築(住宅)分野にも言及したいところです.ちなみに,技術士試験の建設一般論文では,社会保障制度云々なんて書く必要はありません.それよりも,建設分野の技術者として何ができるのか,この観点を重視してほしいと思います.

―今日のことわざ―
腹の立つように家倉建たぬ


建設一般 | 【2009-05-26(Tue) 18:16:58】
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交通安全白書
 先日発表された平成21年版交通安全白書によると,昨年の交通事故死傷者が10年ぶりに100万人を下回ったようだ.古いデータに基づいて論文を作成している方は,最新のデータに修正しておきましょう.巷に出回っている書籍や月刊誌「道路」などは,一昨年のデータで書かれているケースが多いので要注意です.
 昨年は交通安全絡みで自転車や信号交差点が出題されたから,いよいよ今年は高齢者かも?

 政府は19日午前の閣議で、2009年度版「交通安全白書」を決定した。08年に起きた交通事故による死傷者数は前年比8.6%減の95万659 人で、10年ぶりに100万人を下回った。うち死者数は前年比10.3%減の5155人となり、8年連続の減少。過去最悪だった1970年(1万6765 人)の約3割の水準まで減った。

 死者数が減った理由について白書は、後部座席のシートベルト着用を義務化した改正道路交通法の施行(08年6月)などを背景に、シートベルト着用率が向上したことや、車両の安全性が改善した点を挙げた。
 交通事故死を年齢別で見ると、65歳以上の高齢者が2499人と16年連続で最も多く、全体の48.5%を占めた。
 「NIKKEI NET 2009年5月19日」

 話は総監部門に変わるけど,とうとう新型インフルエンザの第一波がやってきました.これだけ連日ニュースに取上げられているので,総監部門を受験される方は,ザッとでいいからBCP(事業継続計画)に目を通しておいたほうがよいと思います.
 感染者が増えれば増えるほど,どこかの時点でインフルエンザが変異するリスクは高まるのに,「弱毒性でタミフルも効くから」と気軽に考えている人が多すぎるような……5月はやたらと総会みたいな「不要不急の会合」も多いし……これは愚痴か.
 まー,第一波は梅雨入りで自然消滅するのを待つことになるんだろうなぁ?.やはり問題は,秋口からの発生が懸念される第二波になるんでしょうね.

―今日のことわざ―
転ばぬ先の杖


道路科目 | 【2009-05-20(Wed) 19:39:16】
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マナド海洋宣言
 初めての世界海洋会議で「マナド海洋宣言」が採択されたらしい.開催国のインドネシアは各国に呼びかける前に,自国で対策を打つ必要があると思うのだが…….インドネシアは森林の伐採による泥炭地破壊で,米国,中国に次いで世界第3位のCO2排出国.
 それにしても,ここ最近の動きを見ると,もう懐疑論者の出る幕はなくなってきた感じがしています.各国のグリーン・ニューディール政策や,アメリカの本格的な環境ゲーム?参戦によって,人為的起因の地球温暖化は(政治的に決着した)既成事実となってしまった.

 政治的に決着したものをとやかく言っても始まらない.
 政治的な決着では,「何が正しいか」よりも,「とりあえず何が正しいことになったのか」のほうが大事.ましてや「不確実性への備え」を盾にされると,懐疑論者が何を言っても反論する余地はいくらでもある(だから政治的に決着したとも言える).

 インドネシアのマナドで14日、海と環境の問題を話し合う初の世界海洋会議が開かれた。海面上昇で被害を受ける途上国の海岸線保護などに対し、国際社会の資金援助を求める「マナド海洋宣言」を採択、閉幕した。

 宣言では、12月にコペンハーゲンで開く第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)で決まる京都議定書以降の新しい国際枠組みづくりとの関連を重視。途上国が温暖化で受ける被害を和らげるため、先進国が資金援助する「適応基金」の中で、海岸浸食などへの対策も盛り込むことを訴えた。

 会議はインドネシア政府の呼びかけで実現した。日米欧、アジア、アフリカなど70カ国余りの閣僚や国際機関の代表らが出席。主催国インドネシアのユドヨノ大統領は「海洋資源を人間による収奪や気候変動の影響から守らなければならない」などと強調した。
 「NIKKEI NET 2009年5月14日」

 とにかく国家試験で「あまのじゃく」になる必要なんてどこにも見当たらない.昨年の記事「地球温暖化は人為的起因か?」に書いたように,国家試験である技術士試験では,懐疑論なんて書く必要はない(個人的にどう思っているかは別問題です).人為的起因の温暖化を前提条件として受け入れ,そっから後の部分で勝負すればよい.

 あれだけ「暮らしを支える」と白書で明記しているから,地球温暖化対策という直球問題は考えにくいが,気候変動リスクへの適応はあるかもしれない.何度も言っているようですが,今年の白書は総花的な内容なので,受験者の方は「あれだこれだ」と強引に予想するのではなく,ある程度最近の時事も含めて,幅広く勉強しておくべきでしょうね.

―今日のことわざ―
論に負けても実に勝て


建設一般 | 【2009-05-15(Fri) 17:57:18】
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見事な転向
 つい先日の記事「見事な数字合わせ」から一転,事業凍結した直轄国道18路線の事業を再開するらしい……これはアカン.どさくさにまぎれて再開したら,後からボロカスに言われるのが目に見えている.
 引用した記事に書かれているような工法の見直し,いわゆる費用の削減が問題ではない.「交通量」から算出する「走行時間短縮便益」ですべてが決まってしまう便益評価をどうするのか,これが問題視されているのに本質が擦替っている.要するに,交通量が少ない路線の便益をどうやって評価していくか,こっちに議論が進まなきゃいけない.
 まー,実際の議論がどうなるかは,「事業評価監視委員会」の議事を見てみないと何とも言えないんだが.

 金子一義国土交通相は8日の記者会見で、道路整備の効果が費用を下回ったとして一時凍結した直轄国道18路線について、6月にも各地方整備局などで「事業評価監視委員会」を開き、事業の再開を検討する考えを明らかにした。
 18路線は、下方修正した将来の交通量予測に基づき、費用対効果分析を行った結果として、3月に国交省が一時凍結を発表した。委員会は外部の有識者らで構成。工法の見直しで費用の縮減ができないかなどを検討する。
 金子国交相は、18路線のうちすでに完成間近まで進んでいる事業について再開の可能性を示唆。ただ「(再評価で)効果が上回るなど委員会が必要だと判断しなければできない」と述べ、全路線の凍結解除は否定した。
 「共同通信 2009年5月8日」

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 そろそろ今年の総花的な白書に目を通された受験者も多いと思います.
 暮らしの根幹を支え,暮らしの質を高めるという白書のテーマは,今の世論では当たり前のことかもしれない.それとなく白書もへりくだっていたが,「行政は悪者」というバッシングが先行し,「住民は善良」という構図で捉えることは危険な単純化だと思う.公益ではなく私益を追求する住民エゴによって,事業が頓挫したり工期が遅れた苦い経験は,誰もが持っているのではないだろうか.

 「住民参加」や「官民協働」は,住民(民間)も公益・公共性の責務を担っている,これが大前提である.しかし,その前提が置去りにされているような気がする.行政バッシングをすれば,それで問題が片付くのではない.住民はバッシングするに足るだけの,公益・公共性の責務を担えているだろうか.それ抜きで様々なニーズを発しても,住民エゴにしかならない(自戒の念も込めて……).
 建設一般や専門科目の課題解決策として,耳触りのよい「官民協働」や「住民参加」というキーワードを散りばめるだけなら簡単だが,本質はそこではない.
 公益・公共性の話をはじめると長くなってしまうので,またの機会にでも.

―今日のことわざ―
足るを知る


道路科目 | 【2009-05-08(Fri) 19:47:17】
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新型インフルエンザ
 豚インフルエンザのニュースが飛び交っているけど,これもBCP(事業継続計画)を考えるべき対象になります.とは言っても,金融機関や医療機関,電力会社など,事業がストップしたらまずい業種だけがBCPを策定すればよいと思っています(個人的な意見ですが).もちろん,行政機関も事業がストップしたらまずい業種です.

 政府や地方自治体は,こうした業種以外の中小企業にもBCPの策定を勧めているようだが,どこもかしこも作ればいいってもんじゃない.まずは,非常事態時に業務を継続する必要性があるのか否か,これを冷静に見極める必要がある.
 新型インフルエンザが大流行しているときに,業務継続しなきゃいけない業種は少数に限定される.建設コンサルタントや建設会社なら,一時的に休業(自宅待機)すれば済む.自宅でパソコンを使えばそれなりに仕事もできる……そのかわりITベンダーのような情報基盤を支える企業は休めそうもない.

 引用した記事で書かれているように,豚と聞けば,そのすべてを悪者にする群集心理は相変わらずだなぁ?.とにかく,ここにきて新型のインフルエンザA(H1N1)というニュースが飛び込んできたので,総監部門を受験される方は,BCPの復習をしておく価値があるかもしれません.

 世界保健機関(WHO)は30日、新型インフルエンザの呼称について、「インフルエンザA(H1N1)」に改めると発表、同日から使用し始めた。

 人への感染が世界的に広がる今回のインフルエンザについて、WHOはこれまで、ウイルスの型から「豚インフルエンザ」と呼んできた。しかし、発生国メキシコからの豚肉禁輸や豚の大量処分に踏み切る国が続出したため、風評被害を懸念する食品業界などに配慮し呼称変更を決めた格好だ。
 「YOMIURI ONLINE 2009年5月1日」

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 メキシコと聞くと,なぜかルイス・バラガンを思い出した(それだけレパートリーが少ないのかも……).これだけ色鮮やかな建築を日本で作ることはできないと思う.何かと話題になる景観は大事だが,なにも田園風景ばかりが美しいのではなく,幾何学的な美しさや機能的な美しさ,原色だからこそ打ち出せる美もある.
 毎度のように話が飛んでしまったが,固定観念にとらわれない姿勢,幅広い視点を持つことは大切だと思う.

 いよいよ明日から本格的な?ゴールデンウィークが始まる……にもかかわらず,残業務と新規業務に追い立てられています.そろそろ落ち着くと思っていたのに,一向にその気配が見えません…….
 年度末の残業務に追い立てられ,勉強できていない人が多いと思います.そうでなくても,遅れている人は多いはず……人間誰しも切羽詰まらないと動かない.過ぎ去った時は戻ってこないんだから,気持ちを入替えて,有意義なゴールデンウィークにしてください.

―今日のことわざ―
好機逸すべからず


総合技術監理 | 【2009-05-01(Fri) 16:02:51】
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建設部門 択一問題集  平成29年度版
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