何回でも論文添削!技術士(建設部門・総合技術監理部門)受験 2010年04月
成長戦略会議
 今年度の受験者にとっては多難続きだが,平成21年度国土交通白書『国土交通白書2010』はいつ公表されるかわからない状態だ.それもこれも政権交代のおかげか.第二部の構成はそうそう変わらないはずだから,指をくわえて待つより,昨年(平成20年)度の白書で勉強を進めておくべきだと思う.

 昨日提言がまとめられたようで,その正式な文書は公表されていないが,とりあえず「国土交通省成長戦略会議の重点項目」には目を通しておきたい.
 昨年閣議決定した新成長戦略の基本方針にも,“環境技術において日本が強みを持つインフラ整備をパッケージでアジア地域に展開・浸透させるとともに,アジア諸国の経済成長に伴う地球環境への負荷を軽減し,日本の技術・経験をアジアの持続可能な成長のエンジンとして活用する.”という建設一般でそのまま使えそうな文章が盛込まれているので.

 国土交通省の有識者会議「成長戦略会議」は28日、海外でのインフラ受注の支援策などを盛り込んだ提言をまとめた。日本企業の国際展開を後押しすることでインフラ整備などの海外受注額を今後10年で計10兆円以上にする計画。航空路線や便数の制限をなくすオープンスカイ(航空自由化)の加速なども求めている。
 提言は5月下旬にも正式に採択される。国交省はその骨格部分を政府の新成長戦略に盛り込むよう提案する。
 現在、日本のインフラ関連の海外受注額は全体で年1兆円強。提言は国交省の支援を受けた案件だけで2020年までに計10兆円以上を受注する目標を設定。首相の親書を円滑に発行できる体制を整えるなど、相手国・地域への働きかけを強め、資金支援も進める。……以下省略……
 「日本経済新聞 2010年4月29日」

 政府は,アジア諸国を輸出先でなく,(日本と一体の)内需として見ることが重要,と考えているようだ.うーん……内需の拡大解釈か?当たり前の話だが,新幹線や高速道路,水資源開発,原子力発電などのインフラ整備を支援すれば,アジア諸国の国民は豊かになる.豊かさの尺度は難しいところだが,1人当りGDPや人間開発指数(HDI)になるのかな.

 こうして豊かになった人々はモノを買うはずだから,そこでの需要(これこそ日本と一体の内需?)も取込めるという発想のようだ.これって,年間所得3,000ドル(約28万円)未満で暮らす開発途上国の低所得者層に向けた,BOPビジネスそのものじゃないか?ずいぶん前からネクスト・マーケットとして目を付けられていたのに,なんとも悠長な発想だなぁ?.
 いいとこ取りのようだが,BOP層が日本からモノを買うという保証はどこにもないし,アジア諸国以前に日本国民の豊かさが減衰しているような…….

PDF:国土交通省成長戦略会議の重点項目について
参考ホームページ:国土交通省成長戦略会議

―今日のことわざ―
穴の貉を値段する


建設一般 | 【2010-04-29(Thu) 10:24:43】
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二律背反
 つい先日一時的な人気取りという記事を書いたのに早くも迷走か……参院選絡みの幹事長要望ということは百も承知だが,一体なんやねん.マスコミ報道は,二律背反を強調した国交相への援護射撃が多い.だから?あえて嫌われている幹事長の肩を持ってみよう.

 試行的な社会実験とはいえ,高速道路の無料化はマニフェストなんだから,実質値上げとなる新料金体系を提出すれば,世論から叩かれることを理解できなかったんだろうか.国交相には反論が来ることを事前に予測し,前もって着地点を決めておく余裕がほしかった.
 マニフェストとの矛盾を指摘されて逆ギレすることほど見苦しいものはない.(閣議決定したものをごねるのもどうかと思うが)矛盾を知ったうえで幹事長は要望しているのに,声高々に二律背反と反論したのでは,自身の能無しをアピールしているようなものではないか.

 高速道路の新料金制度をめぐり、民主党の小沢幹事長と前原国土交通相の対立が23日、先鋭化した。
 前原氏は同日の閣議後の記者会見で、「実質値上げ」となる新料金制度見直しを求めた小沢氏の対応を激しく非難した。鳩山政権の政策決定のあり方も揺らいでいる。
 前原氏は記者会見で、小沢氏の要求を「二律背反のことを言っている」と断じた。小沢氏が昨年12月、鳩山首相に提出した2010年度予算案の18項目の重点要望には「高速道路の整備」が盛り込まれていた。政府はその財源を生み出すために、現行の料金割引を減らし、新料金制度に移行する方針だからだ。……中略……

 高速道路建設財源の裏付けとなる道路財政特別措置法改正案の国会審議は、党と政府の対立の影響で滞っている。平田健二民主党参院国会対策委員長は23日の記者会見で、「結論が出ない場合、次の国会でもいいではないか」と述べ、成立先送りを示唆した。
 前原国交相は6月からの新料金制度導入に変わりはないとの立場だが、鳩山首相は23日夜、首相官邸で記者団に、「変えるべきところがあれば変えるのは、当然のプロセスではないか」と述べ、小沢氏の意向に沿って見直すべきだとの考えを示した。
 「YOMIURI ONLINE 2010年4月24日」

 普通に働いていれば,上司や発注者,地域住民などステークホルダーの言ったことが二転三転するのは日常茶飯事だ.それで深夜まで残業する羽目になったり,金曜日の夕方に大幅な変更指示を連絡してきて「月曜日までに資料修正を頼む」と言われたり……二律背反を起因とした不合理はよくあることだし,それに立ち向かうことが仕事なのかもしれない.
 ちゃぶ台をひっくり返すのが得意なステークホルダーに対しては,それなりの仕事のやり方を考えるべきであって,「あのときはこう言ったじゃないですか!」と延々反論していたのでは埒が明かない.

 毎度のことながら話が逸脱したが,新料金体系の着地点はどうなるんだろう.
 いまさら道路財政特別措置法改正案を差戻しでは恰好がつかないから,料金割引財源の一部を高速道路建設に充てる考えは残すしかないと思う.どうやって国土交通委員長を抑え込むかという難題は残るが…….
 その代わり,路線によっては着工年度を先送り(というか順番待ち)にして当面の充当費用を削減,そこで減らしたお金を,上限料金に満たない近距離利用や苦情の出ている四国の値下げに充てるぐらいか.はたしてどうなることやら.

―今日のことわざ―
堅い木は折れる


道路科目 | 【2010-04-24(Sat) 11:51:11】
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パフォーマンス大会
 またしても事業仕分けというパフォーマンス大会が開催される. 
 事業の必要性を問う場合,論拠となる政策体系の正当性や安定性が不可欠だが,それらが現在確立されているとは思えない.この状況では,仕分け人の私見ばかりが目立って,何を論拠として必要か否かを判断しているのか,まったく見えないパターンになるだろう.前回同様,予算縮減額だけが注目され,財源調達が目的化する可能性が高い.
 官僚OBの天下りや公益法人への業務委託(中抜き)などは不要,という結論ありきでよいと思う.しかし,科学技術の軽視はいかがなものか……予算を削ると即座に軽視というわけではないが,何をもって世界と勝負していくのか,国家戦略のベースが宙ぶらりんだからおかしなことになる.“友愛”でご飯を食べられないことは,国民誰しも承知しているはず.

 事業仕分けに限った話ではないが,必要か否かを決めるとき,誰が必要としているのか(主体の明確化),何が必要なのか(論点対象の明確化),なぜ必要なのか(目的と理由の明確化)……などなど,根本が曖昧になっているケースが多い.
 技術士試験の論文ではこれらの点に注意したい.前後の文脈から5W1H(6W2H)が推察できる場合は省略してもよいが,受験者の頭の中だけでわかっている場合が圧倒的に多い.試験官はあなたの頭の中までのぞいてくれない.明確に書かないとわからないのだ.

 政府の行政刷新会議が23日から独立行政法人(独法)を対象に行う「事業仕分け」第2弾で取り上げる個別事業の概要が17日、判明した。約50法人150事業で、都市再生機構(UR)、国際協力機構(JICA)など大規模法人は複数の事業を取り上げて実施、研究開発法人の事業は再編も念頭に4分類して取り組む。融資を行う独法も重点対象とする方向だ。
 枝野幸男行政刷新担当相と国会議員の「仕分け人」らは15日から独法の現地調査を始めており、結果を踏まえて20日の刷新会議で対象事業を最終決定する。

 URは市街地開発など都市再生事業、賃貸事業、関係法人との取引など事業全般が対象となり、JICAは運営費交付金、有償資金協力、取引契約関係などを取り上げる方向。独法が事業に不必要に関与する「中抜き」構造にメスを入れる考えだ。
 研究開発法人については、35事業前後を(1)理化学研究所など自ら研究を行う「研究施設型」(2)科学技術振興機構など研究資金を提供する「配分型」(3)情報通信研究機構など民間企業へ出資する「ベンチャー支援型」(4)建築研究所など技術の基礎調査、研究を行う「基準政策型」―に4分類し、統合なども視野に仕分ける。
 「共同通信 2010年4月17日」

 事業仕分けに限らず,意思決定をするためには合理性と説得性が必要になるから,こじつけであっても定量化が求められる.しかし,ここで問題が生じる.首都高速の延伸(あるいは地方路線の4車線化)が自分にとって必要か否かを考えてみればよい.首都圏(あるいは地方)に住んでいる人には必要であっても,数年に一回しか首都圏(あるいは地方)に来ない人にとっては不要,という動かしがたい潜在的な主観が問題となる.

 いくら定量化を進めようが,そもそも必要か不要かという判断には,国民誰もが納得できる客観的な合理性は存在しない.なぜなら,必要と不要は相反関係であり,それを判断する主体の経験や享受する利害,すなわち主観に左右されるからである.だからこそ,コンフリクトの解消を目的とした,双方の話合いによる着地点の模索(合意形成)が必要になるわけだ.
 普天間基地の移設問題や高速道路の新料金制度に対するヤジも,最も厄介な合意形成という過程を避けてきた結果ではないか.数の論理だけで事が進めば簡単なんだけど,一方通行のパフォーマンスを許すほど世論は甘くない.

―今日のことわざ―
勘定合って銭足らず


日々寸感 | 【2010-04-18(Sun) 11:02:18】
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一時的な人気取り
 先週末,高速道路の新たな料金体系が発表された.マスコミの反応はどこも似たり寄ったりだと思うので,どこか一社だけでいいからネット上の社説に目を通しておいてください.
 キーワードとしては,料金割引財源のうち1.4兆円を高速道路建設に,4車線化の凍結解除,上限料金に満たない近距離利用は実質値上げ,公共交通機関の反発,なぜ四国だけ高く……などなど,これでもか!というぐらいネガティブなものばかりです.
 なお,政権の迷走や公約違反など,毎度のキーワードは省略させていただきました.

 国交省の資料に赤線を引いてみたけど,「多額の国費投入による“一時的な人気取り”であり,持続可能でない」,ここにすべてが集約されていると思う.“一時的な人気取り”という文言を公的な文書にしていいんだろうか?という基本的な疑問もあるんだが…….
 現行料金体系の課題として書かれているんだから,これで前政権にヤジを入れたつもりなんだろう.しかし,国交省の本音は,「今回提示した料金割引も“一時的な人気取り”ですよ」と反抗したかったんじゃないのかな……さすがに深読みしすぎか?現在の料金割引ですら持続が難しいのに,公約の無料化なんて不可能ですよ,と.
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 耳触りのよいエコも取上げられているが,エコカー優遇割引の対象車をどのようにして見分けるのか,なんて愚問をしてはいけません.ETC搭載車はエコカーか否かの車両情報がわかるけど,料金所のおっちゃんが非搭載車を「これはプリウスで,あれはインサイト,いやいや新車の○○か」なんて確認できるわけがない.結局,事前登録制しかないから事務手続きが増えるだけ……ますます行政(的な)手続きが肥大化するんだろう.

 それにしても,通勤割引や深夜割引,マイレージ割引など,それぞれ趣旨が異なる割引制度に関する検証がまったく書かれていないのはまずいと思う.自分たちにとって都合のよい現状だけを取上げ,それをベースに課題提起しても,課題解決策(今後展開する施策)の説得力は皆無だ.それこそ論理構成力はゼロということ.

参考ホームページ:高速道路の再検証結果と新たな料金割引について

―今日のことわざ―
持った棒で打たれる


道路科目 | 【2010-04-11(Sun) 09:48:41】
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志し高く
 総監部門の書籍で紹介しましたが,ISO31000関連の書籍が相次いで出版されています.以前の記事「リスク保有」でも書きましたが,リスクマネジメントは総監と切離せない重要事項なので,もう少し書いておこう.
 リスクという用語の定義は「目的に対する不確かさの影響」に変更されているんだけど,目的という用語が厄介だ.組織やプロジェクトにおける目的を設定して初めてリスクが決まる,つまり目的が宙ぶらりんだとリスクは特定できないということ.

 青本に書かれているリスク対応は,低減,保有,移転,回避という4つのカテゴリーだけど,ISO31000では下記の7つの分類になっています.ちなみに,リスク対応の選択肢は,必ずしも相互に排他的なものではありません.

 1.リスクを生じさせる活動を開始又は継続しないと決定することによって,
   リスクを回避する.
 2.ある機会を追求するために,そのリスクをとる又は増加させる.
 3.リスク源を除去する.
 4.起こりやすさを変える.
 5.結果を変える.
 6.一つ以上の他者とそのリスクを共有する.
 7.情報に基づいた意思決定によって,そのリスクを保有する.

 大まかにまとめると,1がリスク回避,2がリスクテイク,3?5までがリスク低減,6がリスク共有,7がリスク保有といった感じ.リスク低減の対応が細分化されている点とリスクテイクの追加,リスク移転という弱腰の表現?が排除されている点に注意したいところです……いつになったら青本を改訂するつもりなんだろうか.

 思いっきり余談だが,知人から勧められていた孫正義LIVE2011を観た.携帯はドコモなんだけど.「志し高く」……いろんな意味で考えさせられました.青本に書いてあるマニュアル的なことが“ちっぽけ”に感じてしまいました.
 2時間を超える内容ですが,それだけの時間を費やしても観る価値はあると思います.ちなみに,放送期限は3月29日から1週間だけ(4月5日で終わり?)のようです.理解できそうな年頃の子供がいれば,春休み中の彼らに見せてもよいかも.
 願書を提出する前に,「志」を再考してみるのもよいと思います.

―受講者さんへの事務連絡―
 以前お伝えしたように,4月8日?10日は添削をお休みさせてください.4月7日に送られたメールは,基本的に4月11日以降の返信になります.宿泊先で時間が取れれば,なるべく早く返信しますが,確約はできません.ご無理を言いますが,よろしくお願いします.

総合技術監理 | 【2010-04-04(Sun) 09:41:42】
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リンク
建設部門 択一問題集  平成29年度版
総監部門 択一問題集  平成29年度版
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