何回でも論文添削!技術士(建設部門・総合技術監理部門)受験 2010年08月
最も重要な変化
 今年の筆記試験で問われた,建設一般の「社会的状況の変化」とか,総監部門の「事業等の前提となる主要な条件について生じる可能性のある重要な変化」に対する“本音”の解答(最も重要な変化)は「政治」だと思う.まー,本音を書けばいいってもんじゃないんだけど.

 それにしても目先の円高が止まらない.マーケットは催促相場の模様を呈しているが,民主党政権は日本経済より代表選が大切らしい……経済政策に対する政権担当能力が無いことはよくわかった.
 市場が火災に見舞われた危機的事態なのに,菅首相・仙石官房長官・野田財務相・白川日銀総裁,揃いも揃って市場の動向を注意深く見守るだけで,消火活動せずに様子見とは情けない.このまま民主党政権があと3年も続いたら暴動が起きるんじゃないか?
 2011年度予算の概算要求にしても,子ども手当,高速道路の無料化,農家の戸別所得補償など,バラマキ的要素の強い施策は無理やり感が漂っているし……そろそろ本気でマニフェストを見直す時期が来たんじゃないかと.

 25日の東京株式市場は、政府による円高対策の遅れに失望感が広がり、日経平均株価の終値は前日比149円75銭安の8845円39銭と4日続落した。終値で24日に付けた今年最安値を更新。電機や自動車など輸出関連株の売りが止まらず、一時187円安まで値を下げる場面もあった。
 菅直人首相と野田佳彦財務相、仙谷由人官房長官が金融市場の動向をめぐり25日午後に協議したが、為替介入や追加金融緩和など円高阻止に向けた具体策への言及がなかったと伝わった。これをきっかけに失望感から日経平均は下げ幅を拡大した。輸出企業の業績悪化が国内景気をさらに冷やしかねないとの見方から、先行きも株価の一段安が警戒されている。
 「時事通信 2010年8月25日」

 為替が極端に変動すると,とかく引合いに出されるのがビッグマック指数だ.これは,マクドナルドのビッグマック販売価格を基準とした購買力平価水準であり,ビックマックを手にするためにいくらかかるか,というもの.
 7月時点の試算では,アメリカでビッグマック1個を買う場合は3.73ドルで,日本では320円だった.これをもとに昨日24日の終値1ドル=83.98円で計算した場合,ドル建て価格は3.81ドル(320/83.98=3.81)になる.もしアメリカでビックマックを食いたいなら,313円(3.73*83.98=313.2)で1個手にすることができる.つまり,ドルに対する円の市場実勢は約2%の過大評価(円高)ということ.

 購買力平価で考えると大した円高水準じゃないが,日本はデフレで経常黒字国だから円高圧力は根強い.それを放置すると,グローバル企業の海外シフトが加速して雇用環境は悪化,個人消費の停滞を招き,巡り巡って内需企業までもが疲弊してしまう.
 日銀の単独介入や新型オペ拡充の有効性に疑問があるのも確かだが,できない御託を並べるよりも,マーケットが火事になったら必ず消すという“やる気”を見せるべきだと思う.

 ここで強引に?技術士試験へと話を振るが,こうした“やる気”を周囲に見せることは試験勉強でも大切だ.かと言って,威勢のよい掛け声をまき散らすだけではダメです……夏バテで掛け声どころじゃない状況かも.やる気を出して“実際に自分が勉強する”というアクションを起こさないといけませんよ.

―平成23年(来年)度の受講者さんへ―
 建設部門(道路)の受講者さんには,今週23日付けで専門想定問題その1を配布しました.もし手元に届いていないようでしたら,メールで連絡してください.セキュリティソフトによっては,送付したメールが弾かれているかもしれないので.

日々寸感 | 【2010-08-25(Wed) 19:38:34】
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成功事例の模倣
 今年度の専門(道路科目)問題は,“あなたがこれまで関わった”や“あなたがこれまでに携わった”のような“自分の経験”を問う新たな形式だったので,それに準じて口頭試験対策を考えておくべきでしょう.要するに,雑誌「道路」や国土交通白書に書かれている“お決まりの方策”を覚えるだけじゃなく,それを自分はどう活用するのか,という実体験を意識して口頭試験対策すべきということ.
 たとえば,地域活性・再生は永遠に解決できないテーマになりつつある事柄だから,観光という視点も含めて自分の経験を整理しておく.そのとき,“お決まりの方策”を羅列している文献だけじゃなく,いろんな書籍に目を通して,自分なりの見解を考えれば効果が高い.

 「地域再生の罠」は,土建工学者(著者による造語)や自治体が“これでもか!”というぐらい叩かれています.“実際は失敗している事例を成功事例として祭り上げ,その模倣を勧めて市民を騙している”という論調で,トコトン土建工学者や自治体を悪者扱い……「日本版スローシティ」では,そんな極端なことを書くような著者ではないと思っていたんだけど.
 新書が乱発される状況で,読者の目を引いて売上げを伸ばそうとすれば,どうしても極端な論調になるのかもしれない.
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 『コンパクトシティの本質を理解しないまま,西欧とは市民のライフスタイルも価値観も異なる日本に,コンパクトシティの表層部だけを模倣して持ち込む土建工学者は,あまりに心ないように思えてならない.』―という記述にしても,市民のライフスタイル云々よりも,郊外に拡散した現状のままでは,公共交通の継続やインフラの維持補修など,将来的に持続可能じゃなくなるから(やむを得ず)コンパクトシティという認識がメインだと思うんだけど. 

 これは毎度のことになるけど,地域活性化や地域再生で必ず説かれる「市民志向」は結構なんだが,それほど市民は賢いんだろうか?土建工学者の考えを排除した「市民志向でまちづくりは進める」けど,都市型水害に伴う浸水のような「災害が起こったときは土建工学者におまかせ」します,というのは,ご都合主義じゃないかな.

 本書の「市民と地域が豊かになる7つのビジョン」は夢話というか,反論できないキーワード(公益,交流,地域愛,心の拠り所など)で溢れていました.B級グルメをスローフードに進化させたり,スポーツクラブを作るという策は一過性の流行じゃないか?……など反論も多いと思う.そもそも,土建工学者による成功事例の模倣を批判しておいて,著者が成功と信じている事例の模倣を勧められても…….
 あれよあれよという間に「地方都市再生論」の感想を書くスペースが無くなってしまったが,この書籍で主張されている考えのほうが口頭試験の回答としては“受け”がよいと思います.

Amazon:地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? 久繁哲之介(著)
Amazon:日本版スローシティ 地域固有の文化・風土を活かすまちづくり 久繁哲之介(著)
Amazon:地方都市再生論 藤波匠(著)

―今日のことわざ―
一時違えば三里の遅れ



建設一般 | 【2010-08-17(Tue) 13:14:38】
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(事務連絡)論文添削について
―平成23年(来年)度の受講を考えられている皆さんへ―
 アナウンスを開始する前から申込みが届いている状況なので,本日8月8日から平成23年(来年)度受験に向けた論文添削の申込みを開始します.  
 昨年度末は激務に追われて十分な準備ができなかったので,来年度に向けて早めに勉強を開始したいと思っている方が多いようです.あと,来年度初めて二次試験を受ける予定の方からも添削指導の申込みがきています.
 申込みについては,「建設部門(道路)の論文添削について」あるいは「総合技術監理部門(建設)の論文添削について」を読まれたうえで「申込みフォーム」からお願いします.

―平成22年(今年)度の受講者の皆さんへ―
 技術的体験論文に関する案内を,本日8月8日にメールしました.
 当たり前ですが,全員に送信するので,筆記試験がサッパリだったなぁ?と自覚している受講者さんにも届きます.毎年お伝えしていることですが,技術的体験論文を準備するか,今年はキッパリあきらめて来年に向けてボチボチ始動するか,このへんの判断は各自に任せたいと思います.

―お盆の予定について―
 これも毎年のことですが,8月13日から8月15日まで帰省するので,その間はメールへの返事や添削ができないと思います.ご迷惑をおかけしますが,よろしくお願いします.

日々寸感 | 【2010-08-08(Sun) 20:30:36】
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お疲れさまでした.
 昨日,今日と受験された皆さん,お疲れさまでした.
 
 ―総監―
 想定問題で仮想事例は準備していたのですが,あそこまで技術者の領域からかけ離れた設問は予想外でした.別の言い方をすると,経営やマーケティング的な素養など,総監部門の技術士に多くを求め過ぎているような…….
 受講者さんたちもサプライズ的な設問に相当てこずったはず.とは言え,数多くの論文を作成していないと,完全にお手上げ状態だったと思うので,苦労して準備した甲斐はあったのではないでしょうか.
 
 仮想事例という出題趣旨は理解できるんだけど,非現実的なケースを取上げるのはどうかな?と感じています.
 ケース2の場合,建設(設計や施工)と維持(複合施設の運営管理)の両方に精通している人なんていない.精通していないのに全てを予見するなんて不可能だし,そもそも500m程度の超高層ビルなんて,複合施設を埋め尽くすだけの潜在需要も将来需要も見込めないと思う.おまけに,それを支持できる地盤条件で立地も制約されるし……つまり事業としてどうなの?っていうこと.
 ましてやケース1なんて,エコカーの特性や次世代自動車戦略2010(ロードマップ),昔ブログ記事で書いた「技術経営(MOT)」の本質がわかっていないと書けないのでは?
 ざっとした感想?は昨日の記事「全てを予見?」に書いたので,目を通してみてください.

 ―建設一般―
 ひとつは自然災害,もうひとつは国際展開が出題されたようです(今年は予想通り).
 自然災害を書いた受講者さんが大半だと思います.今年用意した想定問題(地震防災)と昨年用意した想定問題(気候変動に伴う災害リスク),どっちでも書けたはず.
 受講者さんなら,国際展開でも十分記述できる内容だったと思います.
 
 ―専門―
 必須は,事例を踏まえたうえでの「円滑に道路事業するための取組」だった.必須と選択,どちらも「自分の経験した事例」が問われるようになった(要するに難しくなったということ).
 「整備に関わる側」と「整備の効果や影響を受ける側」の関係を考慮した対応,この事例を課題も含めて書けたかどうか,これが評価の分かれ目か.もちろん,事例を踏まえて提起した課題に対する解決策を,今後の取組みで提示する必要がある.
 着地点は合意形成としても,人間重視の道路創造やプライオリティ・スピーディー,コスト縮減・VFM最大化など,想定問題として準備した手持ちのパーツを切った貼ったしないと,受講者さんでも満足な内容は書けなかったと思います.
 
 選択は,想定問題ズバリの「環境負荷低減の舗装技術」を書いた受講者さんが大半だと思います.想定問題のスマートウェイを「ITS」で書いた受講者さんも多いかもしれない.
 既存ストックを活用した円滑化対策を書くことも可能だったと思いますが,これは受験者の多くが選択しているでしょうから,相対評価は厳しくなるかもしれません.グランドアンカーの説明まで要求された法面構造物の維持管理(長期的な健全度確保)と,自身が携わった事例を挙げる新技術の活用・開発,これらは予想外でした.

 総監部門の問題を提供してくれた“rexkingさん”と“とんぼさん(これでわかるかな?)”,建設部門の問題を提供してくれた“おやじさん”,迅速な対応ありがとうございました.

 とりあえずビールでも飲んで,筆記試験の疲れを癒してください.

―今日のことわざ―
寝る間が極楽
(毎年同じになってきたが……)

出題予想 | 【2010-08-08(Sun) 18:50:39】
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全てを予見?
 今日の試験を今日ブログ記事にしているので,じっくり考えたわけじゃないが,今年の記述式を振り返ってみたい.

 一見,昔出題された仮想事例のようだが,天と地ほど難易度の差があった.
 『各種のプロジェクトや業務を遂行するに当たっては,近視眼的にプロジェクトや業務内の適切管理を追求するだけでなく,将来の社会変化や技術進歩なども意識しながら物事に相対することが今後さらに望まれてくるであろう.これは,その時点で全てを予見し,解決することが出来なくても求められると考える.』
 という前置き文章にしても,将来の社会変化や技術進歩などを,現時点ですべて予見することなんてできるんだろうか?ケース1は技術経営(MOT)的な側面が強いし…….

 このブログを見ている方は,ケース2しか選択できなかった人が大半だと思うので,ケース2を選択したとして振り返ってみる.

 1枚目は,次の3点が示されていればよいと思う.
 まず,超高層ビルに関する建設プロジェクトの概要(目的)を仮定する.これがケース2の「建設」に該当する.
 つぎに,超高層ビルが稼働し始めたときの概要(普及の姿)を仮定する.これがケース2の「維持」に該当する.構造物劣化という狭義で「維持」を解釈すると2枚目以降が続かない.
 最後に,超高層ビルが社会に与える効用(社会的便益)を予見する.建設時における雇用創出効果や資機材需要,複合用途による職住近接など,多々考えられるが,あくまで便益だから悪い点を書く必要はない.
 前置き文章のなかに『当該プロジェクトを推進する立場で』と書かれているが,自分の職務と立場を細かく仮定したほうがよいと思う.
 
 2?3枚目,この段階で解決策をイメージしていないと4枚目以降の記述がしんどくなる.
 超高層ビル事業にゴーサインを出したときの前提条件(社会的環境や市場ニーズなど)を何個か考えて,それらにインパクトを与える重要な変化と,変化に伴うデメリットを記述すればよい.発現時期は,建設時・稼働直後・稼働数十年後,この程度がわかれば十分だ.
 たとえば,「建設」という観点なら,着工後の計画変更に伴う工程遅延,資材価格の急騰に伴う採算性の悪化……などが思いつく.
 「維持」という観点なら,少子高齢化や景気低迷によるオフィス需要の低下(空きテナントの増加),エレベーターの故障に伴う高層階からの避難問題,超高層ビル(競合他社)乱立によるビル風・日照問題,多様な環境変化に伴う構造物劣化……などが4枚目以降の解決策をイメージしやすい.

 4?5枚目は,3つの分野を何にするか次第だが,上述したデメリットだと,経済性管理(工程管理やサプライチェーンマネジメント,フィージビリティ・スタディ),安全管理(リスクマネジメントや危機管理,システムの高信頼化),社会環境管理(環境影響評価やライフサイクル・アセスメント)が書きやすい.逆に言うと,解決策がイメージできないと2?3枚目の収拾がつかなくなるかも…….
 これらとコストを絡ませれば,経済性管理と安全管理,あるいは経済性管理と社会環境管理という分野間の相互関係(トレードオフ)についても言及できる.
 もし人的資源管理を取上げるのなら,団塊世代の技術継承問題から人材教育的なことを書けばよい.情報管理は2?3枚目の重要な変化が読めないので,選択肢として選んだ人は少なかったのではないか.

 ざっと振り返ってみたが,今年の記述式はサプライズ問題だったので,全体の出来は相当悪いんじゃないかな?デベロッパー勤務ならケース2をバッチリ書けたかもしれないが,技術者が「全てを予見」して書くのは困難だったと思う. 

総合技術監理 | 【2010-08-07(Sat) 23:28:22】
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リンク
建設部門 択一問題集  平成29年度版
総監部門 択一問題集  平成29年度版
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