何回でも論文添削!技術士(建設部門・総合技術監理部門)受験 2012年02月
長期的な企業の衰退
 先月,米イーストマン・コダックが米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した.コダックはデジタルカメラへの参入に躊躇し,フィルム技術を進化させたディスクカメラを販売したが,さっぱり売れなかった.また,製薬会社を買収するなど多角化も進めたが,やはりフィルム事業への集中(いわゆるイノベーターのジレンマ)にかじを切り,多角化部門を次々に売却した結果,業績は悪化の一途を辿ってきた.
 結局,リストラ(ダウンサイジングや解雇)を敢行し,その後も業績が悪化するたびにリストラ,その都度(一時的に)株価は上がるが下降する業績は止められず弱体化していった.こうした度重なるリストラによって,社員は疑心暗鬼(どうせ頑張ってもリストラされるのではないか?)となり,モチベーションは低下,優秀な技術者が次々と会社を離れていった.

 もし財務的な余力があるうちに,優秀な技術力(デジカメを世界で初めて開発したのはコダック)や豊富な技術者を活用して新しい分野への挑戦を続けていたら……,あるいは目先の株価だけにとらわれずリストラを避けてきていたら……と考えると,ここ最近の日本企業における安易なリストラはどうなんだろうか?
 NECの1万人削減,パナソニックの4万人削減,TDKの1万人削減……などリストラが横行しているが,「とりあえず人を減らせばよい」という発想は“長期的に企業の衰退を招く”ことをコダックの顛末は示していると思う(建設業界やコンサル業界には耳の痛い話だが).
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「Brett Carlsen for The New York Times」
 当たり前の話だが,人件費というコストが減れば損益分岐点が下がり,利益は出やすくなる.評価が低い社員や最前線ではない社員から削減されているとはいえ,戦力がダウンすれば処理できる仕事の絶対量は減るし,チームワークやモチベーションへの影響も懸念される.人的資源の疲弊によって組織の収益基盤が弱体化するようでは,コスト削減効果が相殺され,逆に長期的なマイナス要因となってしまう.

 ここで強引に総監部門の話をすると,青本では生産計画の生産能力調整(青本p.26表2-2)が飾り程度に掲載されているけど,世間一般的な意味でのリストラには言及していない.
 せめて原価管理(青本p.46)の箇所で実体経済に沿った記述があってもいいんじゃないか,と思う.同頁では,「原価管理(コスト管理)とは,原価低減という目標を通して,経営活動や管理活動の効率化と経営業績の向上を図るものである」と書かれているが,原価低減(業績を向上)させるために真っ先にリストラ(ダウンサイジングや解雇)するのが実体経済だ.
 もしくは雇用管理(青本p.81)で雇用調整(労働条件の引下げや希望退職者の募集,解雇など)を扱ってもよいのではないか.

 どうも青本は上辺だけの話というか,実体経済とかけ離れた話というか,リストラの綺麗な部分(組織の再構築というより効率化)だけに焦点を当てているような気がする.
 リストラは経営陣(に与えられた権限と責任)じゃないと決断できない,という本筋は理解できるが,綺麗な部分でごまかすだけでは,最近の記述式問題で求められる「外部要因」や「事業モデルへの影響」の本質なんて書けないんじゃないか.

―受講者さんへの確認事項―
 現時点で,建設部門は想定問題11問(専門その9まで・建設一般その2まで),総監部門は想定問題その8までを配布済みです.
 もし手元に届いていないようでしたら,メールで連絡してください.セキュリティソフトによっては,送付したメールが弾かれたかもしれないので.

総合技術監理 | 【2012-02-06(Mon) 17:53:54】
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