何回でも論文添削!技術士(建設部門・総合技術監理部門)受験 2012年09月
通学路の安全対策
 昨日“危ない通学路”全国に6万箇所と報道された.「具体的な安全対応方針を11月末までに検討」としているけど,そんな短期間で対応案がまとまるんだろうか?早いだけでミスだらけの成果は仕事でも見かけるが,何でもかんでも“早いがごちそう”というわけじゃない.
 道路は利用者や管理者(いわゆる主体)ごとに評価基準が異なり,「安心」の程度は主観的な価値観になる.似たような語句である「安全」は交通事故発生件数のように客観的評価できるが,容易に「安心」の程度を測ることはできない.
 とは言え,すでに政策目標として「安心」が掲げられているんだから,そもそも安心とは何か,どの程度の安心が望まれているのか,に対する共通認識が必要な時期に来ている.これが宙ぶらりんだと,利用者や管理者(主体)ごとに異なるイメージや意味合いで「安心」が語られ,民主党の代表選同様,結局は意味のない言葉のやり取りに終わってしまう.

 文部科学、国土交通、警察3省庁は20日、全国の公立小学校の通学路約7万カ所を点検した結果、児童が事故に遭う恐れがあり安全対策が必要な地点が約6万カ所に上ったと発表した。今後、点検結果を精査して詳しい状況を公表し、地方自治体には、対策が必要とされた地点での具体的な安全対応方針を11月末までに検討するよう求める。公立小学校や特別支援学校小学部の9割程度に当たる約2万校の通学路で8月31日時点の点検結果をまとめた。
 道幅が狭かったり見通しが悪かったりした地点約7万カ所のうち約6万カ所で、横断歩道や信号の設置、児童を安全に誘導する人員の配置を増やすなどの安全対策が必要とした。約1万カ所は、車の通行量が少ないなどの理由で当面、対策の必要はないとした。……以下,省略……
 「日本経済新聞 2012年9月21日」

 毎度のことながら話は逸脱するが,今年8月に公表された「通学路の交通安全の確保に関する有識者懇談会意見とりまとめ:文部科学省・国土交通省・警察庁」では,「合意形成のあり方」に言及している.そこでは率直な意見(腹を割った話!?)が出ているんだけど,この内容が国民に周知されているんだろうか?以下に引用した下線や太字表記のような内容こそ,マスコミには報道してほしいんだけど……シルバー世代に手厳しい内容は報道できないか.
 “危険と感じる場所で子育てしたくない”という思いは全国共通なのに,古参が声を大にしてクルマの利便性(おいらの都合)ばかり主張していたのでは,若年層が寄付かないシルバータウンと化し,地域全体も衰退していくことになる.

●住民の合意形成について、若い保護者の意見を、高齢者の方が多くなっている地域の中で、自治会に伝えてもらって、保護者の方とも一緒になりながら、学校から意識的な啓発を発信していくということが重要。

●多くの地域において、地域の課題解決や合意形成のルールが、まちづくりの中に存在しないというのが、非常に大きな問題。地域の合意形成のルールを確立し、スピード感をもって対応していくことが重要。住民の何%が賛成したら合意形成がなされたというようなルールがないため、合意形成に時間がかかってしまう。

合意形成に基づいて対策を進めていくことが重要だが、合意形成は時間や労力がかかることが少なくない。それを前提とした対策を待っていてはいけない。合意形成がなくても、即効的に効果を上げるような対策やコストがかからない対策は何なのかを選択し進めていくことが必要。

 とかく安心は,安全と同じように,与えられるものと考えられがちだが,道路交通における安心は,与えられると同時に与えなければならない……要するにギブアンドテイクということ.交通ルールやマナーを守るなど,自らの交通行動が他人に対して「信頼」を与えなければならない点は,たとえ小学生であろうと,教育によって認識させる必要がある.
 主観的な価値観である「安心」を客観的価値として位置付けするには,通学路として信頼できるかどうか,という「信頼性」が必要なんだろう.交通安全対策の根幹は,ハード・ソフト面それぞれの施策が,主体に信頼を与えるものかどうか,信頼の醸成に役立っているか,という「信頼性」の観点で考えるべきだと思う.

―平成25年(来年)度の受講者さんへ―
 現時点で,建設部門は想定問題2問(専門(従来の選択科目)その1・専門(新設される分野)その1),総監部門は想定問題2問を配布済みです.もし手元に届いていないようでしたら,メールで連絡してください.セキュリティソフトによっては,送付したメールが弾かれているかもしれないので.

道路科目 | 【2012-09-21(Fri) 18:01:19】
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終わりなき持家政策
 消費税の増税に対する景気対策の一環として,毎度おなじみの住宅ローン減税が拡充されるらしい.日本の住宅政策は一貫して持家取得を前面に押出してきたわけだが,この手法は限界にきているんじゃないか?景気の下支え対策とはいえ,成熟社会になった今,人口や経済が拡大していた時代と同じことを続けていくのは無理がある.

 長期金利の低下を背景に,銀行では住宅ローン固定金利の引下げ競争が激化している.企業向け融資が伸び悩むなか,安定収益が見込める個人向け住宅ローンを強化している,というのは理解できるが,これって限られたパイの争奪戦だからジリ貧じゃないかな?
 低金利を謳い文句に個人へ投資を煽りながら,銀行はリスクを伴う投資を控えている,という矛盾を抱えているわけだが,銀行業界も持家政策には足を向けて寝られないはず.

 財務省と国土交通省は住宅ローン減税を拡充する検討に入った。減税期間をいまの10年から15年に延長し、減税額も最大で1千万円規模に増やす。所得税額が計算上の減税額を下回る個人には、差額を住宅エコポイントなどで給付する仕組みも検討する。2014年4月の消費増税による住宅購入者の負担を和らげるのが目的。今年末の税制改正論議で細部を詰め、14年の実施をめざす。
 住宅ローン減税はローン残高の一定割合に当たる額を所得税額から差し引ける仕組み。……中略……

 1997年に消費税率を3%から5%に上げた際には、前年に住宅の駆け込み需要が起こり、引き上げ後に大きな反動減が生じた。11年の住宅着工戸数は約83万戸と低迷。家電や家具など波及効果の大きい住宅投資が落ち込めば、景気への悪影響も大きい。
 8月10日に成立した消費増税法は、駆け込み需要とその反動減を抑えるため、住宅購入への支援策を検討すると明記している。政府は年末にまとめる税制改正大綱に方向性を盛る方針だ。
 「日本経済新聞 2012年9月1日」

 1960~70年代,ベビーブーム世代による人口や所得の急増を背景として,郊外を中心に持家取得を促す大規模住宅団地(いわゆるニュータウン)が開発された.しかし,同世代が同時期に入居した特徴を持つニュータウンは,教育・医療や買い物という生活利便施設へのアクセスには自動車が必須という条件に加え,年齢層の偏りに伴う急速な高齢化によって,今では居住者のいない空き家が急増(いわゆるゴーストタウン化)している.

 その一方で,子供を育てようとする世帯の多くは,ニュータウンや既存の中小分譲団地とは別の新たな土地で,持家を買おうとする……というか,巷にあふれている借家の広さや家賃の高さを考えると,住宅ローンを抱え込んででも買わざるを得ない状況下にある.
 子供が小学校に上がるまでの広さの借家なら大量供給されているが,それより大きくなった子供がいる家族向けの広さの借家は少なく,その家賃も高い……このへんのバランスが改善されないかぎり持家志向は続くんだろう……ライフスタイルに応じて世帯が選択できる賃貸市場を充実する政策が必要だと思うんだけど.
 公営住宅は市場メカニズムを無視した料金設定だから,これを単純に増やせばいいっもんじゃないわけだが.

 成熟社会の住宅政策に求められることは,なにも特別なものではなく,既存ストックの有効活用だと思う.住宅ローン減税など個人資産的な持家政策ばかりが強調されているため,国民は住宅も社会資本だということを忘れかけている(それが政府の狙いかも!?).同じ社会資本をテーブルに載せているのに,道路や河川などは新規建設を抑制する一方で,持家取得(新規建設)を促進する政策では整合性が取れていない.
 当たり前の話だが,道路や橋梁と同様に,持家取得(新規建設)は抑制し,賃貸(リニューアルやリノベーション)を充実させ,新規建設からストックの活用に軸足を移す必要がある. 

 余談になるが,都市計画法の矛盾も解消したほうがよいと思う.法第34条第11項を強引に適用させた!?市街化調整区域のミニ分譲住宅地はいかがなものか……これとコンパクトシティという方向性は相反関係だし,将来的には現在問題視されているニュータウンのゴーストタウン化を繰返すだけになると思う.

―平成24年(今年)度の受講者さんへ―
 筆記試験終了後,十分な休息をされたと思います.そろそろ技術的体験論文を煮詰めて,自分なりに完成したと思ったら,論文を送ってきてください.
―平成25年(来年)度の受講者さんへ―
 現時点で,建設部門は想定問題2問(専門(従来の選択科目)その1・専門(新設される分野)その1),総監部門は想定問題その1を配布済みです.もし手元に届いていないようでしたら,メールで連絡してください.セキュリティソフトによっては,送付したメールが弾かれているかもしれないので.

建設一般 | 【2012-09-09(Sun) 16:21:57】
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