何回でも論文添削!技術士(建設部門・総合技術監理部門)受験 2013年08月
受忍限度の違い
 日産自動車が2020年までに自動運転技術を搭載した乗用車(いわゆる自動運転車)を発売するらしい.国交省が開催してきた「オートパイロットシステムに関する検討会」も,近く中間とりまとめ(案)を公表するようだ.この技術が普及するか否かは,自動運転車が事故を起こした場合に誰が責任を負うのか,という法的な問題の解決次第か.
 個人的には,自動運転車は規制速度を厳密に守るのか,という点が気になる.規制速度40km/h道路の場合,普通のドライバーは50km/hから60km/hで走っているが,自動運転車が律儀に規制速度を守ったら,とんでもない渋滞に……どこまで受忍できるかな?
 こうした最新ネタも大事だが,技術士試験の勉強という点では,選択問題Ⅱ-1(専門知識)や選択問題Ⅱ-2(応用能力)対策として,交通工学研究会「道路交通技術必携〈2013〉」に目を通しておくのがよいかもしれない.

 話は変わるが,鯰絵(なまずえ:Wikipedia)関連の書籍が岩波文庫に収録された.自動運転技術のような最新ネタばかりではなく,たまには古いものにも目を向けたい.引用した中沢真一氏の解説文は,技術者にとっても手厳しい忠告となっている.

 鯰絵を前にして,そこに表現されている知性のたくましさ,洒脱さ,高さに,驚かされる.そして同じ大震災を経験した現代日本人との知性における大きな落差に,気づかされることになる.大震災を体験したあと,現代日本人は「絆」だとか「復興」だとか,平板なボキャブラリーを動員しての紋切り型の思考しか生み出せなかったのではないか.そのため大震災があらわにした現実を前にして,大きな広がりと射程をもった根源的な思考で,それを受け止めることがほとんどできなかった.人間も自然の一部分にすぎないという真実が,そういう思考には深い実感として組み込まれていない.ようするに私たちには人間のことしか見えていないのである.
 それにひきかえ,鯰絵をとおして江戸の庶民たちが表現した土着的なリスク思考のなんと深く豊かであったことか.地震や火災で縁者を失ったものもあったろうし,焼け出されて着の身着のままの人びとも多かっただろう.そういう庶民が,ウィットに富むこれらの鯰絵を手にして,悲しみに打ちひしがれながらも心には微笑をたたえているのである.
 「鯰絵(岩波文庫) [解説]プレート上の神話的思考 p.582から引用」


 滑稽さと諧謔(かいぎゃく)に満ちた多色摺りの鯰絵は,1855年(安政2年)の江戸大地震直後,大量に出回ったものらしい.ネット上で画像検索すれば数多く出てくるが,参考ホームページで掲載した「国際日本文化研究センター」の鯰絵コレクションが見やすいと思う.
 鯰絵には,地震鯰,鹿島大明神,要石(かなめいし:Wikipedia)の3点セットが描かれているものが多い.3点セットの関連性も重要なんだけど,地震を引起す鯰(破壊者)と悪者がため込んだカネをばらまく鯰(救済者),これら鯰の両義性にも着目したい.

 岩波文庫(C.アウエハント著)は柳田民俗学が根底にあるようだが,私は民俗学に詳しくないので多くは語れない.ただ,鯰絵で描かれている江戸の庶民は能天気だったわけではなく,何とかして自然をコントロールしようとする(人間のほうが自然より偉いと勘違いしている)現代人とは,災害に対する受忍限度のレベルが異なっていたんじゃないか.
 最近,ゲリラ豪雨の災害対応で過酷な労働を強いられている方も多いと思うが,人間と自然を対等に捉えようとした江戸の庶民に見習うべき点もあるような気がする.

Amazon:道路交通技術必携〈2013〉 交通工学研究会
Amazon:鯰絵―民俗的想像力の世界 (岩波文庫) C.アウエハント (著)
参考ホームページ:国際日本文化研究センター 鯰絵コレクション

―受講者さんへの事務連絡―
 私事で9月7日(土)から9月9日(月)までは添削をお休みさせてください.9月6日(金)に送られたメールは,基本的に9月10日(火)以降の返信になります.ご無理を言いますが,よろしくお願いします.
―平成26年(来年)度の受講者さんへの確認事項―
 現時点で,建設部門は2問〔内訳:Ⅱ-1(専門知識)想定問題その1(2問ずつ問題あり),Ⅱ-2(応用能力)想定問題その1〕を配布済みです.総監部門は想定問題その1を配布済みです.
 もし手元に届いていないようでしたら,メールで連絡してください.セキュリティソフトによっては,送付したメールが弾かれたかもしれないので.

日々寸感 | 【2013-08-31(Sat) 13:39:41】
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(事務連絡)論文添削について
―平成26年(来年)度の受講を考えられている皆さんへ―
 すでに来年度初めて二次試験を受ける方から添削指導の申込みが届いている状況なので,本日8月4日から平成26年(来年)度受験に向けた論文添削の申込みを開始します.  
 択一式で6割(9問)未満の正答だと筆記不合格が確定するからか,建設部門は添削指導の申込みが例年より早いような気がします.頻発している豪雨災害の影響もあって,できるときに少しでも勉強を進めておきたいと考えている方が多いようです.
 また,ずいぶん前から要望はあったのですが,平成26年(来年)度の添削指導から,総監部門も択一式の問題集を作成します.一度に5つの管理分野すべてではなく,作成できた管理分野から随時配布する予定です.
 申込みについては,「建設部門(道路)の論文添削について」あるいは「総合技術監理部門(建設)の論文添削について」を読まれたうえで「申込みフォーム」からお願いします.

―平成25年(今年)度の受講者の皆さんへ―
 口頭試験に向けた準備を進められる方は,筆記試験の答案(建設部門の場合は課題解決能力を問うものだけ)を再現しておいてください.再現さえ済ませておけば,しばらく休息を取ってもよいと思います.
 毎年お伝えしていることですが,筆記試験がサッパリだったなぁ~と自覚している受講者さんは,口頭試験に向けた準備を進めるか,今年はキッパリあきらめて来年に向けてボチボチ始動するか,このへんの判断は各自に任せたいと思います.

―お盆の予定について―
 これも毎年のことですが,8月13日から8月15日まで帰省するので,その間はメールへの返事や添削ができないと思います.ご迷惑をおかけしますが,よろしくお願いします.

日々寸感 | 【2013-08-04(Sun) 19:25:39】
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お疲れさまでした.
 昨日,今日と受験された皆さん,お疲れさまでした.

 ―総監―
 メンテナンスに特化した想定問題は用意していませんでした……とは言え,苦労して数多くの想定問題に取組まれた受講者さんなら,設問要求に準じた記述ができたのではないでしょうか.想定問題では昨年までの出題傾向から設問要求を細分化したのですが,逆に今年度は単純化された感じです.設問における日本語の使い方というか,メンテナンスとライフサイクルという語句の解釈に惑わされた受講差さんがおられたかもしれません.
 ざっとした感想は「メンテナンスとライフサイクル」に書いたので,目を通してみてください.

 ―専門(課題解決能力)―
 ひとつは老朽化対策,もう一つが交通結節点だったようです.老朽化対策は想定問題に類似した内容だったので,受講者さんはこれを書いたと思います.交通結節点は予想外でした.おそらく多くの受験者が老朽化対策を用意していたと思うので,ありきたりの話ばかりだと他の受験者と差別化できないので相対評価は難しいかも.それにしても,専門(選択科目)の出題全体通して,最近の政策に絡んだ出題が老朽化対策だけだったとは…….

 ―専門(専門知識・応用能力)―
 2問×2枚のうち1枚目で専門知識を確認すると予想していたのですが,専門知識は1問1枚(それを2つ)解答だったようです.
 「道路が有する空間機能」は課題解決能力の想定問題として準備した内容を流用すれば,受講者さんは記述できたと思います.「軟弱地盤対策工における振動締固め工法」を選択することも可能だったと思いますが,想定問題はこの工法に特化していなかったので避けた方が多いかも.「費用便益分析で基本となる3便益」は算定方法が要求された時点で,解答が難しかったか……「普通コンクリート舗装の構造」は予想外でした.
 応用能力の「交差点改良計画」は,「渋滞発生メカニズム」と「既存の道路を賢く使う」という観点から作成した想定問題を使われた受講者さんが多いと思います.「路上工事の円滑化」は予想外でした.

 なんだかんだ言っても,建設部門は制度改正の初年度だったので,設問要求がズバリという想定問題は無かったと思います.特に専門(専門知識・応用能力)の問題は1問1枚(それを2つ)解答だったので,筆記合格に要する勉強範囲が増えた印象を受けました.事前に頭へ入れておかないと答えられない出題が増えた,とも言えます.来年度以降受験される方は,小手先の準備で受験しても合格は難しいかもしれません.

 試験問題を提供してくれた受講者さん(今回もハンドルネーム表記を避けました),迅速な対応ありがとうございました.
 とりあえずビールでも飲んで,筆記試験の疲れを癒してください.

―今日のことわざ―
寝る間が極楽


出題予想 | 【2013-08-04(Sun) 19:17:53】
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メンテナンスとライフサイクル
 昨晩大まかな内容は聞いていたんだけど,今朝になって試験問題が入手できたので,とりあえず今年の記述式を振り返ってみたい.このブログを見ている方の多くは建設部門だと思うので,道路事業を「事業等」として考えてみる.

 1枚目から2枚目,自分の立場と事業等の内容,これらは0.5枚程度に収めたい.
 自分の立場は,発注者と受注者の別を明記したうえで,計画・設計時,施工時,維持管理時,これら各ステージにおける責任者と書くのが無難だと思う.ちなみに,各ステージを全部網羅するような立場は非現実的だし,仮にその立場であれば,予算確保が課題の中心であり,すべてであるとも言える.
 事業等の内容は,多くを語らなくてもよいと思うが,『課題や対策の妥当性を判断できる内容を含むこと』と要求されているのだから,事業の規模や重要度ぐらいは示しておきたい.

 メンテナンスの課題(各ステージ0.5枚程度)では,現状の何を問題と考えてその課題を導出したのか,という論理的な流れを重視したい.以下,3枚目から5枚目の記述と絡めて,各ステージで書くべき内容を考えてみる.
 a.「計画・設計時」
 課題1:情報管理では,施工時や維持管理時に顕在化した不具合事象の情報が設計にフィードバックされていない,という現状の問題を書いてほしいのだろう.要は,知的情報の創造・共有・交換・蓄積・活用,ナレッジ・マネジメント,団塊世代の技術継承などを,3枚目の具体的な対策で書けるような課題が必要ということ.
 課題2:人的資源管理としては,人的資源開発,教育訓練計画,ジョブ・ローテーション,OJT・OFF-JT,教育訓練管理などを,具体的な対策で書けるようにしておけばよい.
 ちなみに,冗長性設計やLCC,メンテナンスフリーなども考えられるが,これらは情報管理や人的資源管理の内容にマッチしているとは思えない.

 b.「施工・製作時」
 課題1:経済性管理として掲げる課題は,品質確保の一点張りでよいと思う.これに対する具体策なら誰でも書けるはずだし,これが書けないようだと正直合格は難しい.
 課題2:安全管理の課題は,メンテナンスに限った話ではないが,現道交通の安全対策,休日・夜間や緊急時の施工に対する安全対策,こんな感じでいいんじゃないかな?前者の場合はリスク管理や危機管理,後者の場合は労働安全衛生管理やヒューマンエラー対策が4枚目の具体的な対策で書けるはず.

 c.「運転・保守・維持管理時」
 課題1:経済性管理としては,当該路線が確保すべき管理水準の設定,あるいは更新時期の集中回避(予算の平準化)が王道かもしれない.これらへの対策は多様だが,モニタリング,PDCAサイクル,スパイラルアップ,フォローアップ,フィードバックなど,プラス要素のキーワードも盛込みたいところ.
 課題2:社会環境管理は,『対策効果の程度が明確に判断できるもの』と設問で示されているから,環境経済評価(費用便益分析),ライフサイクル・アセスメントなどを5枚目の具体的な対策で書きたい.再生可能エネルギーへの転換という課題も「あり」だが,その場合,具体的な対策として青本の内容が使われているか,が評価の分かれ目になる.
 
 3枚目から5枚目は,『1つの課題に対して,複数の対策を記述してもよい』のだから,1つの課題に対して2つは具体的な対策を示したい.
 ここから下の要求事項は,具体的な対策すべてに対して書く必要は無い.たとえば,「計画・設計時」の情報管理では「情報管理以外の管理事項に及ぼす正・負の影響」に言及し,人的資源管理では「組織の活動や事業等の改善につながる効果・影響」を書けばよい.
 『対策が,直接の対象としている課題に関する管理事項以外の管理事項に及ぼす正・負の影響』という管理分野間のトレードオフについては,コストが常に負の影響となる.なお,『うまくいかない原因を考慮に入れて』という設問要求は,こうした負の影響から論じるのが楽かもしれない.もし記述スペースに余裕があれば,ボトルネック資源も言及したい.
 『対策が,同一事業等の他のステージに与える効果・影響』は,情報の蓄積・共有や品質確保の対策が他のステージに正の影響を与えるわけで,少し考えれば誰でもわかることだ.
 『対策が本解答の対象とする事業等を越えて,組織の活動や事業等の改善につながる効果・影響』は,人的資源管理や社会環境管理における具体的な対策の箇所で書けばよい.

 ざっと振り返ってみたが,出題文にメンテナンスとライフサイクルの両方を使ったのは失敗(受験者を惑わすだけ)だったような気がしないでもない.

総合技術監理 | 【2013-08-04(Sun) 12:16:23】
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リンク
建設部門 択一問題集  平成29年度版
総監部門 択一問題集  平成29年度版
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