何回でも論文添削!技術士(建設部門・総合技術監理部門)受験 自助・共助・公助
自助・共助・公助
 海外でのインフラ受注やPPP/PFI,観光立国などが流行しているが,今年度の建設一般は防災の準備も必須だと思う.防災とは言うものの,最近やたらとソフト施策に偏重した論文が多いと感じている.そのほうが書きやすいのは理解できるが,ソフト施策の場合,何をどのようにして進めていくのか,という具体的内容がぼやけてしまいがち.
 「財政制約があるからソフト施策を中心に」という考え方は十分理解できる.しかし,「建設」部門の「技術」士になるために受験しているんだから,建設技術の根本であるハード施策を忘れてはいけない.個人的には,ハード施策:ソフト施策の割合が7:3ぐらいでいいんじゃないかと思う.

 ソフト施策と言えば「自助・共助」も一種のブームだろう.どことなく心強く聞こえる「自助・共助」だが,技術者(防災の専門家)が果たすべき役割を放棄しているだけではないだろうか?
 実際,避難指示・勧告をアナウンスするのは簡単だが,当地から避難すべきか(それとも留まるべきか)という判断を下すことは技術者でも難しい.安全サイドに考えて健常者を強制避難させることは容易だが,災害時要援護者もいるわけで…….
 現在の「自助・共助」というスタンスは,技術者でも難しい選択を,素人である国民自身(あるいは地域住民の総意)に求めているだけではないかと……極端な言い方かもしれないが.

 2008年以降の大規模地震を挙げてみました(全部は網羅していません).
 それぞれの被害状況は各自で調べてみてください.とかく目を奪われてしまう犠牲者の数だけでなく,東名高速の盛土崩壊や太平洋沿岸への津波伝播など,社会資本整備に関する状況も再確認したほうがよいと思います.

 2008年5月12日:四川地震(M7.9)
 2008年6月14日:岩手・宮城内陸地震(M7.2)
 2008年7月24日:岩手県沿岸北部の地震(M6.8)
 2009年4月 6日:イタリア中部の地震(M6.3)
 2009年8月 9日:東海道南方沖の地震(M7.1)
 2009年8月11日:駿河湾の地震(M6.4)
 2009年9月 2日:インドネシア・ジャワ南方沖の地震(M7.0)
 2009年9月30日:サモア諸島沖の地震(M8.0)
 2009年9月30日:スマトラ島沖の地震(M7.6)
 2010年1月13日:カリブ海ハイチの地震(M7.0)
 2010年2月27日:チリ中部地震(M8.8)
 2010年4月 7日:スマトラ島北部の地震(M7.7)
 2010年4月14日:中国青海省の地震(M6.9)

 チリ大地震に伴う大津波警報は記憶に新しいと思うが,避難指示・勧告が出された地域の避難率は37.5%だったらしい.そのとき技術者は,水門閉鎖や待機状態など「公助」の役割は果たしたはずだ.でも,国民に向かって“具体的にどう行動すべきか”まで指示・強制はしていないと思う.防災情報を垂れ流しただけで,“実際にどのような行動を取るかは国民で決めてください”という「おまかせ状態」だったのではないか.
 例えは悪いが,寿司の作り方という情報を与えて吉野家の店員に「おまかせ」を握らせる行為と,防災情報を与えて素人である国民に避難行動を「おまかせ」する行為,これらは似たり寄ったりではないか?

 人的被害の未然防止という目的から考えると,大津波警報は大袈裟すぎるぐらいでよいと思うが,それが繰り返されてしまうと,大津波警報の信憑性が揺らぐというか,オオカミ少年と同じ扱いをされてしまう.
 チリ大地震のとき避難指示を無視した国民に,“何も無かったじゃないか……避難指示を無視して当地に留まった自分は正しい”という歪んだ自信を与えてしまったのかもしれない.村の羊がすべてオオカミに食べられるのは童話だが,へたな自信を持った国民が津波にさらわれるのは悲劇にしかならない.
 どことなく心強く聞こえる「自助・共助」の本質を国民にきちんと伝えているんだろうか?

―今日のことわざ―
藁千本あっても柱にはならぬ


建設一般 | 【2010-05-28(Fri) 18:09:55】
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