何回でも論文添削!技術士(建設部門・総合技術監理部門)受験 全てを予見?
全てを予見?
 今日の試験を今日ブログ記事にしているので,じっくり考えたわけじゃないが,今年の記述式を振り返ってみたい.

 一見,昔出題された仮想事例のようだが,天と地ほど難易度の差があった.
 『各種のプロジェクトや業務を遂行するに当たっては,近視眼的にプロジェクトや業務内の適切管理を追求するだけでなく,将来の社会変化や技術進歩なども意識しながら物事に相対することが今後さらに望まれてくるであろう.これは,その時点で全てを予見し,解決することが出来なくても求められると考える.』
 という前置き文章にしても,将来の社会変化や技術進歩などを,現時点ですべて予見することなんてできるんだろうか?ケース1は技術経営(MOT)的な側面が強いし…….

 このブログを見ている方は,ケース2しか選択できなかった人が大半だと思うので,ケース2を選択したとして振り返ってみる.

 1枚目は,次の3点が示されていればよいと思う.
 まず,超高層ビルに関する建設プロジェクトの概要(目的)を仮定する.これがケース2の「建設」に該当する.
 つぎに,超高層ビルが稼働し始めたときの概要(普及の姿)を仮定する.これがケース2の「維持」に該当する.構造物劣化という狭義で「維持」を解釈すると2枚目以降が続かない.
 最後に,超高層ビルが社会に与える効用(社会的便益)を予見する.建設時における雇用創出効果や資機材需要,複合用途による職住近接など,多々考えられるが,あくまで便益だから悪い点を書く必要はない.
 前置き文章のなかに『当該プロジェクトを推進する立場で』と書かれているが,自分の職務と立場を細かく仮定したほうがよいと思う.
 
 2?3枚目,この段階で解決策をイメージしていないと4枚目以降の記述がしんどくなる.
 超高層ビル事業にゴーサインを出したときの前提条件(社会的環境や市場ニーズなど)を何個か考えて,それらにインパクトを与える重要な変化と,変化に伴うデメリットを記述すればよい.発現時期は,建設時・稼働直後・稼働数十年後,この程度がわかれば十分だ.
 たとえば,「建設」という観点なら,着工後の計画変更に伴う工程遅延,資材価格の急騰に伴う採算性の悪化……などが思いつく.
 「維持」という観点なら,少子高齢化や景気低迷によるオフィス需要の低下(空きテナントの増加),エレベーターの故障に伴う高層階からの避難問題,超高層ビル(競合他社)乱立によるビル風・日照問題,多様な環境変化に伴う構造物劣化……などが4枚目以降の解決策をイメージしやすい.

 4?5枚目は,3つの分野を何にするか次第だが,上述したデメリットだと,経済性管理(工程管理やサプライチェーンマネジメント,フィージビリティ・スタディ),安全管理(リスクマネジメントや危機管理,システムの高信頼化),社会環境管理(環境影響評価やライフサイクル・アセスメント)が書きやすい.逆に言うと,解決策がイメージできないと2?3枚目の収拾がつかなくなるかも…….
 これらとコストを絡ませれば,経済性管理と安全管理,あるいは経済性管理と社会環境管理という分野間の相互関係(トレードオフ)についても言及できる.
 もし人的資源管理を取上げるのなら,団塊世代の技術継承問題から人材教育的なことを書けばよい.情報管理は2?3枚目の重要な変化が読めないので,選択肢として選んだ人は少なかったのではないか.

 ざっと振り返ってみたが,今年の記述式はサプライズ問題だったので,全体の出来は相当悪いんじゃないかな?デベロッパー勤務ならケース2をバッチリ書けたかもしれないが,技術者が「全てを予見」して書くのは困難だったと思う. 

総合技術監理 | 【2010-08-07(Sat) 23:28:22】
Trackback:(0) | Comments:(2)
コメント

迅速かつ適切な評価・分析をされていますね。

今年度の記述式は制約の少ない仮想問題です。
自分の立場をどう設定するか比較的に自由なので、それを上手く活かせたかどうかが評価に影響するように思います。

出題の詳細については賛否が分かれるかも知れませんが、私としては総合技術監理部門の試験全体としては少し改善されたように思えます。

筆記試験の記述式問題を受験生の技術的体験をベースに回答させると口頭試験の技術的体験論文との重複部分が大きなってしまいます。
今年度のような仮想問題のほうが試験全体として受験生にその力量を幅広に示してもらうことができ、真の実力をより適切に評価できるように思えるからです。


追記:
一方、今年度も技術的体験論文の出題内容には本質的な矛盾を抱えたまま改善されていないように思います。
総合技術監理部門が置かれた悲しい現実が残っています。
2010-08-08 日 13:54:16 | URL | ごんぎつね #sCdCES4I [ 編集]

ごんぎつねさん,こんにちは.

自分の立場に対する考え方の補強,ありがとうございます.おっしゃるとおりだと思います.

技術的体験論文との重複部分を考えれば,仮想問題という出題形式は,私も有効だと思っています.
たしかに,出題の詳細については賛否が分かれるでしょうね.全てを予見するには無理のあるケースが多かったので,私は否定的ですが(笑).

追記されている点については,部門が設立された当初の趣旨が曖昧なので,一筋縄ではいかないと思います.
2010-08-08 日 19:55:07 | URL | らがー #- [ 編集]
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