何回でも論文添削!技術士(建設部門・総合技術監理部門)受験 重要と考えた理由
重要と考えた理由
 トレードオフ問題の解決を技術的体験論文に取上げている受験者は多いと思う.青本は,「プロジェクトの内容毎に各管理の重要性や優先順位,実施手順などを検討」とか「矛盾の解決・調整を行うための管理技術を総合管理技術とする」……こんな感じで書かれているんだが,結局のところ論文に何を書かなきゃいけないのか,抽象的でわかりにくい.

 いきなり話は一次関数に突入するが,「リンゴ(y:100円/個)とミカン(x:50円/個)を1000円の所持金でそれぞれ何個ずつ買えるか」という問題では,100y+50x=1000の方程式(グラフの赤線:マイナス領域は無視)が成り立つ.点Pから点Qまで(x,y)の組合せは11通りあって,“何を重要と考えるか”によって選択する組合せが異なるわけだ.
 ここで重要なのは,グラフの赤線上の組合せであれば「どれも最適解」であり,トレードオフのバランスが取れた状態ということ(さすがに端点の点Pと点Qはいただけないと思うが).

 たとえば,点Rが最適だと判断した人がいたとする.その場合,なぜリンゴ5個ミカン10個という点Rが最適のバランスなのか,理由はその人にしかわからない.5人家族だからリンゴを5個キープすることが悲願だった,というのも立派な理由だろう.
 人それぞれ判断基準が違うからこそ,青本で言うところの「各管理の重要性や優先順位などを検討した結果」を書かないと,選択された組合せが妥当なのか否か,第三者となる論文の読み手は判断できない.
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 要するに,点Rが最適だと判断した理由が必要ということ.それが示されないまま,トレードオフのバランスを考えてリンゴを5個買った,という「いきなり結論」の論文が多い.リンゴは0個から10個まで選択できるのに,なぜ5個が最適と判断したのか,その理由が読み手にはわからない状態で“トレードオフのバランスを考えて”と言われても……それで納得しろ!では押売りと同じじゃないかと.
 
 一方,リンゴの輸送を効率化して値段を下げた(グラフの青線)とか,ミカンの値段を合意形成?で値切った(グラフの緑線)など,それぞれの効用を上げる話に終始している論文もある.しかし,それらは「PQ間の着地点をどこに据えてバランスを取るか」という本家本筋とは別の話だ.
 同様に,両方の効用を持ち上げればいい,という考えもバランスの話じゃない.それは,グラフの赤線を上方にスライドさせるだけであって,点Rの位置を決めた論拠にはならない.

 リンゴとミカンでは幼稚すぎると思うなら,リンゴを経済性管理レベル(y軸方向に向かうほどコスト縮減額が多い),ミカンを安全管理レベル(x軸方向に向かうほど安全に対する充実度は高い),こんな感じで総監部門らしい内容に置換えてもよい.
 その場合も基本原理は同じで,グラフの赤線上はすべて最適解であり,所属組織やプロジェクトの内容毎でベストの組合せは異なるんだから,何を重要と考えたのか,なぜ重要と考えたのか,という理由を示さないといけない.ちなみに,重箱の隅を突くような数字を書かなくても,受験者の思考過程を第三者が追随できればよい.
 長々と書いてしまったが,経済学の機会費用や比較優位という概念抜きで,トレードオフを論じるところに無理があるのかもしれない.

―今日のことわざ―
東に近ければ西に遠い


総合技術監理 | 【2010-10-03(Sun) 10:07:02】
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