何回でも論文添削!技術士(建設部門・総合技術監理部門)受験 復興構想7原則
復興構想7原則
 東日本大震災復興構想会議が,6月末の第一次提言に向けた「復興構想7原則」をまとめています.これを転載するだけでは能が無いので,ちょっとコメントしてみます.太字表記部は,建設部門の論文を書くとき,復興の方向性として頭に入れておくとよいと思います.

原則1:失われたおびただしい「いのち」への追悼と鎮魂こそ、私たち生き残った者にとって復興の起点である。この観点から、鎮魂の森やモニュメントを含め、大震災の記録を永遠に残し、広く学術関係者により科学的に分析し、その教訓を次世代に伝承し、国内外に発信する。

 防災公園として森やモニュメントを残すつもりだろうか?単なるハコモノにならなければよいが……会議のメンバーを見て少し不安になった.追悼と鎮魂を軽視するわけではないが,衰弱死や悲観による自殺から,助かった命を守ることが復興の起点のような気がする.
 ハード面での科学的分析は時間経過とともに進むが,避難行動などソフト面の教訓をどこまで具現化できるか,が今後の鍵になると思う.大船渡市立越喜来小学校や岩泉町立小本小学校のような事例が大きく報道されてもよいのに.

原則2:被災地の広域性・多様性を踏まえつつ、地域・コミュニティ主体の復興を基本とする。国は、復興の全体方針と制度設計によってそれを支える。

 技術士の論文でも多用されるコミュニティは,上辺だけの常套句になっている.主体となる「地域・コミュニティ」として,どのようなコミュニティを,どのように形成・維持していくのか,高齢化が進む地域は真剣に考えていく必要がある.
 今回の震災では,生活再建など個別のナイーブな問題も話し合わなきゃいけない.それができるコミュニケーションの場をきちんと設定できるか?どうのこうの言っても,コミュニティの意見を集約できるかが最大の問題だ.

原則3:被災した東北の再生のため、潜在力を活かし、技術革新を伴う復旧・復興を目指す。この地に、来たるべき時代をリードする経済社会の可能性を追求する。

 東北の潜在力は何かという点が曖昧だが,第一次産業も盛んなわけだし,短絡的に第二次・第三次産業の技術革新とはいかないと思う.来たるべき時代をリードするためには何が必要なのか,それが簡単に見つかるのなら誰も苦労はしない.
 技術革新が起きるまでグローバル経済は悠長に待ってくれない.重要部品の生産拠点の復旧が遅れれば,部品生産を海外企業に代替されてしまう.現実的な対応を考えると,まず既存の生産拠点を復旧させて,落着いてから技術革新という流れになるわけだが,いったん落着いた後で革新なんて起きるだろうか?

原則4:地域社会の強い絆を守りつつ、災害に強い安全・安心のまち、自然エネルギー活用型地域の建設を進める。

 当たり前の話だが,想定外力が一定規模を超える(確率的に頻度の低い)災害への備えは,ソフトとハードの組合せしかない.大震災前から疲弊していた地方で,地域社会の強い絆が存在したのか,こうした絆づくりは当該地に限らず考えなきゃいけない点だと思う.
 自然エネルギー活用型地域という語句は,現在の国民感情と共鳴するかもしれないが,その具体的なイメージがつかめない.太陽光や風力,地熱では実現性に乏しい.将来の方向性としては正しいと思うが,実用に耐えうるまでの“つなぎのエネルギー源”が必要では?

原則5:被災地域の復興なくして日本経済の再生はない。日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はない。この認識に立ち、大震災からの復興と日本再生の同時進行を目指す

 人口減少に伴う低成長,デフレや資金需要不足,社会保障費の増加など,これまで日本経済が放置してきた問題を,今回の被災と味噌糞一緒には解決できない.そんなトリッキーな施策が打てるのなら,とっくの昔に日本経済は再生している.
 天災がもたらす(人命から私的財産に至るまでの)長期的なリスクを低減しながら,同時に持続的発展を実現していく必要がある.選択と集中によるインフラ整備も大切だが,やるべきことが山積しているんだから,激減させた公共事業の総量を見直す時期に来ていると思う.

原則6:原発事故の早期収束を求めつつ、原発被災地への支援と復興にはより一層のきめ細やかな配慮をつくす。

 原発被災地への支援と復興は,先例が無いだけに“いばらの道”になるのは確実だ.どこまでを風評被害として補償するか,なんて一筋縄では決められない.さすがに,全ての輸出工業製品や海外の日本食材店・日本食レストランまでは補償できないような…….とにかく,建設部門の試験では,原発事故について踏み込んだ記述をする必要はないと思います.

原則7:今を生きる私たち全てがこの大災害を自らのことと受け止め、国民全体の連帯と分かち合いによって復興を推進するものとする。

  技術士試験を受ける人で今回の震災を他人事と考えている人はいないはず.“国民全体の連帯と分かち合い”という文面は,増税の前触れのような気がしないでもない.

参考ホームページ:東日本大震災復興構想会議
PDF:復興構想7原則(平成23年5月10日 東日本大震災復興構想会議決定)

―受講者さんへの事務連絡―
 私用で5月14日(土)から15日(日)は添削をお休みさせてください.5月13日(金)に送られたメールは,基本的に5月16日(月)以降の返信になります.ご無理を言いますが,よろしくお願いします.

建設一般 | 【2011-05-11(Wed) 20:02:03】
Trackback:(0) | Comments:(2)
コメント
らがーさん、こんにちは。
御無沙汰しております (^^)v。

復興または復旧、この2つの言葉をよく耳にします。復旧してから復興は有り得ないはずですよね。

さて、最近のニュースは原発ばかりです。
巨大地震と大津波、その復旧状況、これらについて、マスメディアの扱いも段々小さくなってきたような気がしますが、気のせいでしょうか?

仮設住宅建設もお盆まで100%だとか、それは無理だとか、一体だれが意思決定しているのか、していないのか?
組織として??

何れにしましても、100年先、200年先、もっと先を見据えた「まち」のあり方が問われていると思います。
専門家の方々には、目先の利益にとらわれない斬新な発想を期待しているところです。

長々と失礼しました。
2011-05-12 木 12:52:16 | URL | いなかもの #- [ 編集]

いなかものさん,こんにちは.
懇親会当日のルート予定は,来週中に配布します.今しばらくお待ちを(笑).

>巨大地震と大津波、その復旧状況、これらについて、マスメディアの扱いも段々小さくなってきたような気がしますが、気のせいでしょうか?

⇒気のせいじゃないと思います.インフラの被災状況は,日経コンストラクションのような業界紙頼みになっていますね.建設部門を受験される方は,情報収集が大変だと思います.

>専門家の方々には、目先の利益にとらわれない斬新な発想を期待しているところです。

⇒復興構想会議のメンバーを見た感じ,度を超えた発想にならなきゃいいが……と思っています.ある程度実現性が無いと,絵に描いた餅ですからね.
2011-05-12 木 18:50:04 | URL | らがー #- [ 編集]
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