何回でも論文添削!技術士(建設部門・総合技術監理部門)受験 怨念を超えた政治的判断
怨念を超えた政治的判断
 先日公表された平成22年度 国土交通白書では,限界集落の問題が先送りされている印象を受けた.今年度の建設一般で出題されたように,人口減少や少子高齢化の進展,厳しい財政状況など,日本の社会経済情勢は待ったなしの状況だ.
 その一方で,以下に引用した文面からは,今後も過疎化した集落を現存させていく姿勢がうかがえる.太平洋戦争の伸びきった物資補給網とインフラを一緒くたにはできないが,そろそろ限界集落から撤退する必要もあるのではないか.

 55歳以上の人口比が50%以上で,近い将来担い手の確保が難しくなるのが準限界集落,その次のステップ(65歳以上の人口比が50%以上)が限界集落,最終的に人口がゼロになるのが消滅集落だ.遅くても準限界集落の段階で手を打たないと限界集落化は避けられない,という考え方が一般的だが,国土形成計画が策定されてはいるものの,具体的なアクションには踏み込めていない.
 首相になった野田氏お得意の円高対策じゃないが,「医師不足や医療過疎を解消します」とか「雇用先を増やします」など,過疎地の選挙戦で繰返される呪文(口先介入)をいつまで念じ続けるつもりなんだろうか.
 限界集落の維持or廃止(撤退)論は,とかく都市(限界集落の維持コスト)と地方(森林・農地の荒廃,水資源などへの影響)の二元論になりがちだが,どちらも正論なんだから,それこそ“ノーサイドにしましょう,もう”というか,怨念を超えた政治的判断が必要なのでは?

(地方部に広がる集落の孤立のおそれ)
 東日本大震災では三陸沿岸地域を始め多くの集落が孤立し、救急救助活動が困難な状況が続いたが、全国で中山間地等の過疎化の進行に伴い、災害時に集落が孤立するリスクも高まっている。
 2009年に内閣府が行った調査によると、地震や津波等の災害時に孤立する可能性がある集落は、農業集落、漁業集落とも全国で約3割にものぼっており、5割を超える県も見られる。
 また、孤立する可能性のある集落における災害への備えについても、厳しい財政状況も反映し、避難施設の耐震性(避難施設が耐震性を有する農業集落は17%、漁業集落は22%)、水や食料等の備蓄(食料の備蓄のある農業集落は6%、漁業集落は12%)、情報通信手段の確保(何らかの手段を有する農業集落は45%、漁業集落は57%)等において、総じて不十分な状況にある。
 平常時からの避難施設の整備、生活必需品の備蓄や非常時における複数の情報通信手段の確保等の取組みはもとより、地域の生命線ともいえる生活道路等の適切な維持管理が求められる。
 「平成22年度 国土交通白書 p.80」から抜粋

 限界集落に限った話ではないが,全国の「買い物難民」は約600万人と言われており,その対策の一つとして移動販売が注目されているらしい.セブン-イレブンの「セブンあんしんお届け便」やイオン宅配サービス「とどくんです」など,地場のスーパーでも似たようなサービスが始まっている.しかし,移動販売の採算性や効率性,持続可能性を考えると,どうしても太平洋戦争の伸びきった兵站が頭にちらつく.
 乱立したコンビニの空き店舗を見れば,企業が永続的にサービスを続けるかどうか,に対する答えは明白だ.

 ローソンのスモールコンパクトシティによる限界集落支援も「新しい公共」の一環かもしれない(さすがにネーミングが強引な気もするけど……).行政の窓口業務や福祉施設,町のインフォメーション機能など生活に必要な機能を集約するらしいが,そもそも論として,すでに過疎化した現状を維持しようという試みだけでは先細りが見えている.
 「新しい公共」という概念は立派だが,なんでもかんでも企業に“おんぶにだっこ”ではいけない.準限界集落や限界集落を今後どうしていくのか,政治・行政が決めるべきことは山積している.

―平成24年(来年)度の受講者さんへ―
 建設部門(道路)の受講者さんには,先週26日付けで専門想定問題その1を配布しました.総監部門も同日に想定問題その1を配布済みです.もし手元に届いていないようでしたら,メールで連絡してください.セキュリティソフトによっては,送付したメールが弾かれているかもしれないので.

建設一般 | 【2011-08-30(Tue) 12:11:35】
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