何回でも論文添削!技術士(建設部門・総合技術監理部門)受験 受忍限度の違い
受忍限度の違い
 日産自動車が2020年までに自動運転技術を搭載した乗用車(いわゆる自動運転車)を発売するらしい.国交省が開催してきた「オートパイロットシステムに関する検討会」も,近く中間とりまとめ(案)を公表するようだ.この技術が普及するか否かは,自動運転車が事故を起こした場合に誰が責任を負うのか,という法的な問題の解決次第か.
 個人的には,自動運転車は規制速度を厳密に守るのか,という点が気になる.規制速度40km/h道路の場合,普通のドライバーは50km/hから60km/hで走っているが,自動運転車が律儀に規制速度を守ったら,とんでもない渋滞に……どこまで受忍できるかな?
 こうした最新ネタも大事だが,技術士試験の勉強という点では,選択問題Ⅱ-1(専門知識)や選択問題Ⅱ-2(応用能力)対策として,交通工学研究会「道路交通技術必携〈2013〉」に目を通しておくのがよいかもしれない.

 話は変わるが,鯰絵(なまずえ:Wikipedia)関連の書籍が岩波文庫に収録された.自動運転技術のような最新ネタばかりではなく,たまには古いものにも目を向けたい.引用した中沢真一氏の解説文は,技術者にとっても手厳しい忠告となっている.

 鯰絵を前にして,そこに表現されている知性のたくましさ,洒脱さ,高さに,驚かされる.そして同じ大震災を経験した現代日本人との知性における大きな落差に,気づかされることになる.大震災を体験したあと,現代日本人は「絆」だとか「復興」だとか,平板なボキャブラリーを動員しての紋切り型の思考しか生み出せなかったのではないか.そのため大震災があらわにした現実を前にして,大きな広がりと射程をもった根源的な思考で,それを受け止めることがほとんどできなかった.人間も自然の一部分にすぎないという真実が,そういう思考には深い実感として組み込まれていない.ようするに私たちには人間のことしか見えていないのである.
 それにひきかえ,鯰絵をとおして江戸の庶民たちが表現した土着的なリスク思考のなんと深く豊かであったことか.地震や火災で縁者を失ったものもあったろうし,焼け出されて着の身着のままの人びとも多かっただろう.そういう庶民が,ウィットに富むこれらの鯰絵を手にして,悲しみに打ちひしがれながらも心には微笑をたたえているのである.
 「鯰絵(岩波文庫) [解説]プレート上の神話的思考 p.582から引用」


 滑稽さと諧謔(かいぎゃく)に満ちた多色摺りの鯰絵は,1855年(安政2年)の江戸大地震直後,大量に出回ったものらしい.ネット上で画像検索すれば数多く出てくるが,参考ホームページで掲載した「国際日本文化研究センター」の鯰絵コレクションが見やすいと思う.
 鯰絵には,地震鯰,鹿島大明神,要石(かなめいし:Wikipedia)の3点セットが描かれているものが多い.3点セットの関連性も重要なんだけど,地震を引起す鯰(破壊者)と悪者がため込んだカネをばらまく鯰(救済者),これら鯰の両義性にも着目したい.

 岩波文庫(C.アウエハント著)は柳田民俗学が根底にあるようだが,私は民俗学に詳しくないので多くは語れない.ただ,鯰絵で描かれている江戸の庶民は能天気だったわけではなく,何とかして自然をコントロールしようとする(人間のほうが自然より偉いと勘違いしている)現代人とは,災害に対する受忍限度のレベルが異なっていたんじゃないか.
 最近,ゲリラ豪雨の災害対応で過酷な労働を強いられている方も多いと思うが,人間と自然を対等に捉えようとした江戸の庶民に見習うべき点もあるような気がする.

Amazon:道路交通技術必携〈2013〉 交通工学研究会
Amazon:鯰絵―民俗的想像力の世界 (岩波文庫) C.アウエハント (著)
参考ホームページ:国際日本文化研究センター 鯰絵コレクション

―受講者さんへの事務連絡―
 私事で9月7日(土)から9月9日(月)までは添削をお休みさせてください.9月6日(金)に送られたメールは,基本的に9月10日(火)以降の返信になります.ご無理を言いますが,よろしくお願いします.
―平成26年(来年)度の受講者さんへの確認事項―
 現時点で,建設部門は2問〔内訳:Ⅱ-1(専門知識)想定問題その1(2問ずつ問題あり),Ⅱ-2(応用能力)想定問題その1〕を配布済みです.総監部門は想定問題その1を配布済みです.
 もし手元に届いていないようでしたら,メールで連絡してください.セキュリティソフトによっては,送付したメールが弾かれたかもしれないので.

日々寸感 | 【2013-08-31(Sat) 13:39:41】
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