何回でも論文添削!技術士(建設部門・総合技術監理部門)受験 ハロー効果
ハロー効果
 文庫化されたダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』を再読した.ちょっと長くなるが,採点に関するハロー効果を抜粋しておこう.ノーベル経済学賞の著者でさえこんな状態なんだから,普通の試験官は言わずもがなである.
 引用した「ありきたりのやり方」と「新しいやり方」のどちらを採用する試験官が自分にとって有利なのか,は受験者それぞれ異なるわけで,どっちの試験官に読まれるかは「運」次第です.ちなみに,「運・不運」について語る資格のある受験者は,自分なりに努力してきた方に限定されます.
 おそらく「ありきたりのやり方」を採用する試験官が多いと思うけど,受験者が採りうる最善策としては,選択科目Ⅱ-1(専門知識),Ⅱ-2(応用能力),選択科目Ⅲ(課題解決能力)の3つ満遍なく及第点を狙うことなんだろう……当たり前すぎる結論か!?

 学生の論文試験を採点していたときのことである。始めのうち私は、ありきたりのやり方をしていた。つまり一人の学生の提出物(二本の論文を綴じてある)を取り上げ、課題1の論文を読んで採点し、続けて課題2を読んで採点し、合計を出し、それから次の学生に移るというやり方である。だがそのうち私は、自分のつける点数が課題1と2でひどく似通っていることに気づいた。
 もしかするとこれはハロー効果ではないか、つまり課題1の採点が課題2の評価に影響を与えすぎているのではないか……。

 なぜそうなるのかは、考えてみればすぐわかる。最初の論文で高評価をした場合、次の論文に暖味な主張や意味のわからない表現があっても、いいように解釈してしまうからだ。これは、一見すると理に適っている。最初の論文がすぐれていた学生なら、次でばかげたミスを犯すはずはない、と考えられるからだ。
 だが、私の採点方法には重大な欠陥がある。学生が書いた二本の論文のうち、一方がよくて一方はお粗末だった場合、どちらを先に読むかによって合計点が大きく変わってしまうからだ。……中略……

 そこで私は新しいやり方をすることに決めた。一人の学生の論文を二本続けて読むのではなく、まず課題1だけを全員読み、その後に課題2に移る。最初の論文の点数は表紙の裏に記入し、二本目を読むときに、一本目の点数に(たとえ無意識的にでも)惑わされないようにした。
 新しい方法に切り替えてすぐ、私は落ち着かなくなった。自分の採点に以前ほど自信が持てなくなり、これまでに感じたことのない居心地の悪さをひんぱんに感じるようになった。というのも、ある学生の二本目の論文に失望して低い点をつけ、いざ表紙の裏に書き込もうとすると、一本目には高い点数をつけていた、ということがちょくちょくあったからである。
 そのうえ、一本目との差を減らそうとして、これから書き込む二本目の点数を変えたくなる誘惑にも駆られた。絶対にそのようなことをしてはならない、と自分を律するのはかなり大変だった。この結果、一人の学生の点数が課題1と2で大幅にちがうケースが頻出することになる。この一貫性のなさが私を不安にさせ、不快にもした。

 ファスト&スロー(上) [文庫] pp.152-153から抜粋:改行・太字・下線表記は加工
※学生を受験者,課題1を選択科目Ⅱ-1(あるいはⅡ),課題2をⅡ-2(あるいはⅢ)に置換えると読みやすいかもしれない.

 毎年言ってることですが,筆記試験が間近に迫ってきたので,自分なりに取捨選択して「やめること」を決めてください.あれもこれもと「やること」ばっかり考えても,時間が足りないのは明らかです.試験日までの残り日数を考えると,ハロー効果のような主観に左右される記述式よりも,機械的に点数が決まる択一式に注力したほうがよいと思います.

 ちなみに,覚える範囲(暗記する量)は自らのレベルに応じて決めればよい.要領のよい人と悪い人,飲込みの早い人と遅い人など,人それぞれ持っている能力は異なるんだから,試験当日までに覚えていくべき事項も千差万別にならなきゃおかしい.
 たとえば,キーワードだけを頭に入れておけば設問要求に応じた論文が書ける人,キーワードとセンテンスさえ頭に入っていれば的確な論理構成で論文が書ける人,あるいはパラグラフ丸々覚えていないと論理構成どころじゃない人,いろんな人がいるわけです.択一式にしても,一を聞いて十を知る人もいれば,一を聞いて一を知る人もいるわけです.
 
 パソコンやスマホが使えない試験当日は,どれだけの知識が自分の頭にインプットされているか,これだけが頼みの綱になります.いくら論理構成が立派でも,アウトプットすべき知識の絶対量が不足していたのでは目も当てられません.くどいようですが,現時点での自らのレベルを冷徹に見極め,自らのレベルに応じて覚える範囲を決めてください.それが「やめること」を決めるアクションにもつながります.
 今更の感もありますが,平成25年度 国土交通白書にも目を通しておきましょう.第Ⅱ部に書かれている毎度お決まりの施策は,自らのレベルに応じて復習しておいてください.

日々寸感 | 【2014-07-14(Mon) 12:51:20】
Trackback:(0) | Comments:(2)
コメント

らがーさん,こんにちは.

ご無沙汰しています.
ハロー効果,これは論文のみならず,普段の仕事ぶりにも言えることではないかと感じたところです.
所詮,人間の能力なんて先入観に因ることが多いのではないでしょうか.あの人がそんなことをするはずがない・・・とか.まさかあの人に限って・・・とか.
的外れなことを言っているかも知れませんが,本日の記事を拝見してそう感じたところです.
試験も近くなり,らがーさんも多忙だと思いますが,懇親会で再会できる日を楽しみに日々の業務に勤しんでおります.

取りとめのないコメントになりましたが,この辺で失礼します.
2014-07-15 火 07:36:15 | URL | いなかもの #- [ 編集]

いなかものさん,こんにちは.

> ハロー効果,これは論文のみならず,普段の仕事ぶりにも言えることではないかと感じたところです.

⇒おっしゃるとおりです.
「まさか議員が・・・いい歳の大人が・・・」など,号泣議員に対する私たちの見解も似たようなものでしょう.
もし彼が舞台俳優のような職業であれば,ずいぶん印象は異なっていたはずです.
結局,ハロー効果で期待されている評価を継続することが,その人の「信用」につながるんでしょうね.

> 試験も近くなり,らがーさんも多忙だと思いますが,懇親会で再会できる日を楽しみに日々の業務に勤しんでおります.

⇒私より受講者さんのほうが多忙のはずです(願望をこめて).
毎年のことで無理を言いますが,今年の懇親会も宴会部長よろしくお願いします.
2014-07-15 火 12:33:12 | URL | らがー #- [ 編集]
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