何回でも論文添削!技術士(建設部門・総合技術監理部門)受験 グローバルとローカル
グローバルとローカル
 トリクルダウンやJカーブ効果に対する疑念が顕在化しているからか,アベノミクスは「地方創生」に軸足を移しているようだ.人口減少や地域経済の活性化対策は,即効性を求められるわけじゃないからなぁ…….
 総監部門における平成26年度の記述式は「人口構造の変化」だった(解説は「人口構造と更新計画」を参考にしてみてください).口頭試験に向けて記述式の再現や復習をされている方もおられると思うので,目を通しておいたほうがよいものを紹介しておこう.

 公務員や公的機関に勤務されている方は,増田寛也氏の『地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 』は読んでおくべきだろう.異論反論はあるかもしれないが,大筋では説得力のある内容になっている.わざわざ新書を買わなくても,ネット上の日本創成会議・人口減少問題検討分科会「ストップ少子化・地方元気戦略」 を読めば十分だと思うけど.
 『ストップ少子化戦略』には,育児休業の拡充,「長時間労働」の是正,多様な働き方の推進……のような毎度の具体策や,キャリア・アップ,トップランナー方式,ワークライフマネジメントのようなアチャラ語がてんこ盛りだから,それだけでおなか一杯という感じ.
 『地方元気戦略』の主眼は,地方から大都市への「人の流れ」を変えること,特に「東京一極集中」に歯止めをかけることのようだ.一昔前までは「大都市と地方」という認識だったが,最近は「東京とそれ以外」という対比が鮮明になっているので,この観点は正しいと思う.
 「人の流れ」を変えられるかどうかは,グローバル経済圏とローカル経済圏を確立できるか否か,にかかっているわけだが,東京一極集中に代わる成長モデルを見出せなければ,日本全体としての衰退は必然かもしれない.

 民間企業に勤務されている方は,冨山和彦氏の『なぜローカル経済から日本は甦るのか』がお勧めだ.こちらは人口減少がメインではないが,グローバル経済圏(G)ローカル経済圏(L)を企業目線で説明している.氏の説明用ペーパーを掲載したけど,正直これだけで主張は読取れない.新書を買わないと理解できないレベルのペーパーを配布する……これは氏のビジネス手腕か?
 書籍を読んだ感想を乱暴にまとめると,GとLを一緒くたに論じたり,GかLかの二項対立を煽るのではなく,GにはGの,LにはLの特性に対応した取組みを展開すべき,ということ.言わずもがなの要約のようだが,案外これができていない.
 マスコミだけじゃなく学識経験者も,Lを主戦場とする企業に対してGの常識を持ち込んでいるからなぁ……このへんアチャラ語が頻出する「青本」にも通じるところがある.Lを基盤に活動している技術士が大半なのに,Gの知識をバリバリ使っている理想像を要求するから,ぎこちない印象を受けるんだろう.Gの知識を持っていることと,それを使いこなしているか(Gの基盤に身を置いているか)どうか,は本来別に扱うべきなんだけど.
 ちなみに,技術者に経営者の視点は不要,あるいは公務員に民間企業の視点はいらない(逆も然り)と考えている方もおられるようだが,その考えは見直したほうがよい.青本のキーワードを覚えるためではなく,俯瞰的かつ複眼的な視点を養うためにこそ,総監部門を取得する意義があるのだから.

参考ウェブサイト:日本創成会議・人口減少問題検討分科会
PDF:「ストップ少子化・地方元気戦略」 要約版
PDF:「ストップ少子化・地方元気戦略」 提言
参考ウェブサイト:まち・ひと・しごと創生本部

―平成27年(来年)度の受講者さんへの確認事項―
 現時点で,建設部門は2問〔内訳:Ⅱ-1(専門知識)想定問題その1(2問ずつ問題あり),Ⅱ-2(応用能力)想定問題その1〕を配布済みです.総監部門は想定問題その1を配布済みです.
 もし手元に届いていないようでしたら,メールで連絡してください.セキュリティソフトによっては,送付したメールが弾かれたかもしれないので.

総合技術監理 | 【2014-09-05(Fri) 12:58:01】
Trackback:(0) | Comments:(2)
コメント

らがー様へ

 ご無沙汰しています。日本全体が人口減少といっても、人口が伸びている地域もある。リニア効果による人移動もあって、1部地域では人が集まっていく。

 んー。社会資本整備、まちづくりを考えると、周辺市町の人口を減少させ、自分の市町は増加させる誘導施策だって考えられる。周辺市町は、本来の人口減少分以上に人口が減少してしまう。

 国が進めているコンパクトシティや立地適正化も、本当に住みやすいかは疑問が残るし、規制が厳しければ、規制の緩い市町へ引越せばいい。人口のパイは同じなのだから、人の取り合いになるだけ。昔と違って、交通の利便性もいいので、市町間の距離なんてたいした距離ではないし、市町のサービス水準だってそう変わらない。

 国の施策にのって人口減少対策を早急に行っても、急いだ分だけ人口減少が顕著になって、周辺市町へ人が流れてしまうかも。
最近、そんなことをよく思って、GとLを双方睨んで考えていくのは難しいと感じているところです。
2014-09-06 土 14:00:34 | URL | ココア #- [ 編集]

ココアさん,こんにちは.

増田氏の主張は,県庁所在地規模の都市が「人口ダム」となって,東京一極集中に歯止めをかけようとするものです.
ある意味,周辺市町村から「人口ダム」に人が集中するのは許容する考え方ですね(ひとつの考え方としては正論かもしれません).

人口減少対策は歴史的な正解が示されているわけじゃないので,自分なりの考え方を整理しておけば十分だと思っています.
2014-09-06 土 18:49:11 | URL | らがー #- [ 編集]
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